気づけば祖母と2人だった

本当に一番古い記憶の中のわたしは

祖母しかそばにいなかった

 

 

祖母はいま思えば現在のわたしよりも若かったはずなのに

しっかりおばあちゃんで

でもご飯が思い出せなかったり

お弁当がただの塩結びだったりするあたり

多分料理は苦手だったんだろう。

 

 

保育園での一番の記憶は

もうみんな帰って誰もいなくなったホールで

わたしだけがいるために帰れないのであろう先生に申し訳なく想いながら

ただただ外を眺め祖母が来るのを待っていたことだ

 

家までの距離も

子供なら歩いて30分以上はかかる

決して近くはなかったその保育園に

働いていた祖母はわたしを預けていた

 

朝は一番早く来て

帰りは誰よりも遅い

 

 

先生が毎日書いてくれたノートにはいつも

「とてもしっかりしています」

そう書かれていたけれど

わたしは何も覚えていない

 

 

 

ただ自分は

 

自分の家は

自分とおばあちゃんしかいない

 

 

どうやら

「お父さん」とか「お母さん」とかいう人がいるらしい

 

みんなとは少し違うのかも

 

 

それくらいは感じていたのかもしれない。