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わたしは、生まれた瞬間から毒を食して成長してきた。

毒から変換されたわたしの血や肉は、当然ながら毒を含有した、いや毒そのものとなった。

つまり、わたしそのものが毒なのだ。

「毒をもって毒を制するんだよ。」

わたしに毒を与え続けた母親は、わたしが物心ついた頃から繰り返し繰り返し、わたしにそう教えた。

決して、わたしもわたしの母親も世の中が憎いわけではない。

ただ、どうしようもなく恐ろしかったのだ。

環境から人間関係にいたるまですべてが。

母親の言いつけどおり、わたしは毒をもって毒を制して生きてきた。

何事、何人(なにびと)にも同化せず、まっすぐまっすぐ生きてきた。

母親は、こうも言っていた。

「毒はちっとも怖くないの。毒を内面に携えた生き物は美しいものなの。」

わたしは美しいのだろうか。

これまで幾人もの男たちを食い殺してきたわたしは美しいのだろうか。

そんなわたしが美しいのだろうか。

美しいのだろうか?