リサイクルショップを見つけると、とりあえず入る。
 最近のリサイクルショップは、こぎれいなところが多いよね。以前は、「どこで拾ってきたんだろう?」という品物ばかりが雑然と店内に置いているようなお店ばかりだったのにね。どちらが好きかというと、どちらも好きです(笑)。だから、とりあえず入る。つい先日も行き先も決めずにブラブラと実家の周りを歩いていると、自宅の倉庫をそのままリサイクルショップにしている場所にたどり着いた。実家は、周囲が田んぼだらけの田舎町で、そんな場所にあるリサイクルショップってなんだかワクワクするよね。
 お店の中に入ると、おばあちゃんが毛糸を紡ぎながら店番をしていた。「こんにちわ」と挨拶したら、にっこり微笑んで「よくいらっしゃいました。なんもないけど、色々と手にとってみてください。」とだけ言って、作業にもどった。商品は、どれも古いもの…時代を感じさせられるものばかりで、個人的にはとても好きなテイストのものばかり。そして、すべてのものが「大事に扱われてきたんだな」と分かるような味わい深い雰囲気のものばかり。傷だらけで、時には修理や補修が施されたものもあるけど、すべての商品がきちんと機能するし、きれいに磨きあげられている。僕は、ブリキの車を購入した。代金を受け取り、おばあちゃんはこう言った。
「ありがとさん。この車は、私の孫に買ってあげたんだよ。40年も前になるかいな。立派な男になって、3人も子どもをこさえよった。遠くにいるから、なかなか会えないけど、お正月には帰ってきてくれると思う。楽しみじゃよ。楽しみ。はい、おおきに。」
 その車には、小さな字で名前が刻まれている。きっと、おばあちゃんの息子の名前なんだろう。
「わたしもじいさんが亡くなって3年が過ぎてね。ただ、なんとなく毎日を過ごすのももったいないなといつもいつも思っていたんだよ。先月、88歳になってね、なにか新しいことを始めようと思いついてね。それで、このお店を始めたんだよ。」
「どうして、リサイクルショップなんですか?」
「88年も生きているとね、たくさんのものごとがるもんなんだよ。嬉しいこと、悲しいこと、楽しいこと、苦しいこと。そのひとつひとつが「思い出」っていうもんなんだろうけど、どうも整理してみたくなったみたい。だから、家の中のものをココに並べては、いあれこれ思い出しているんだよ。」
「売ってしまっていいの?」
「それぞれが大切なものだけど、冥土には持って行けないでしょ。「思い出」は持っていけるかもしれないからね。一つでも多く思い出して、整理しておきたいんだよ。」
 ふらっと入ったお店だけど、ちょっとファンになったかも。
「また、来るね。」
「はいはい、お持ちしてますよ。」
 来週、また行く予定。