ごめん、ごめん、ちょっと返事が遅くなってしまった。
車の調子が悪くて、色々と手を加えてた。
旧車に乗ってるもんだから、時々すねるんだよね。
では続きを。

海に放たれたテープに対して、なんの反応もないまま2ヶ月が過ぎた。
そりゃそうだよね。
海流に乗って知らない土地の知らない誰かに…なんて、まるで夢物語。
3人はデモテープのことを口にすることもなく、
相変わらず音楽室に集まっては
来る日も来る日もレパートリーを増やすべく練習に励んでいたんだ。
ところが、ある日奇跡が起きた。
イタリアの新興レーベルから、連絡があったんだ。
「あなたたちの音楽を聴いた。エキセントリックだ。連絡とりたし。」
みたいな内容。
そりゃ沸き上がるよね。
叔母たちが放った瓶は、プカプカと海を渡って“デビューの入り口”に
到着してしまったらしい。
そして、メンバーはそこに書かれていた連絡先にエアーメイルを送りかえした。
新しいレパートリーを録音したテープを添えて。