相棒の劇場版を見ようと、近くの映画館の上映スケジュールページを開いて、固まる。
「人生フルーツ」
ですと!
東中野ポレポレとかいう映画館じゃないと上映してないんじゃなかったの?
二月中に東中野に行かなくちゃいけないと、本気で考えていたのに?
こんな近くでやってるなんて!
こりゃ、相棒どころではありませんよ。
(相棒は来週行きます)
「人生フルーツ」は、つばた英子さん、しゅういちさんのお話。
ドキュメント映画です。
はじまりは「ひでこさんのたからもの。」という本で。
雑誌と小説以外はめったに買わない私が、なぜか手に取った本。
なぜか買ってしまった本。
見知らぬ90歳近くの老夫婦の静かな生活の物語。
それが綴ってあるだけの本。なのに、ふと気が付くと手に取って読んでいる。
そして「あしたも、こはるびより」という、第一弾の本と また、本屋で出会う。
もう、これ、運命というか、巡り合い。
見知らぬ老夫婦は私にとって、遠いところに住んでいる親戚の人みたいに近くなり、
二人のことが気になって仕方がなくなっていた。
そう。英子さんのことが心配で。
さらに、今年に入って、「人生フルーツ」という映画が上映されるって。
東中野であろうと、見に行くしかないでしょ、このタイミング。
けど、遠くない?東中野!どこよ?電車でどんだけかかるのよ?
(田舎に住んでおりますゆえ、東京は遠いっす)
体調崩してグズグズしている間に、東中野は遠く遠く、いまだ、たどり着けず。
で、冒頭に戻る。
というわけで、ネタバレで、感想を書きます。
本で、しゅういちさんがお亡くなりになったことは知っていて。
だから、英子さんがお一人でどうしているのか、ちゃんと暮らしていけているのかが
心配だったのです。
映画がいつ撮影されたのか、2015年って、お亡くなりになられた年だけど…
一人になった英子さんが描かれているのかも気になるところでした。
映画の中の二人は、本から抜け出てきたような、
広い庭、雑木林。
無駄のない、余計なものをそぎ落とされた部屋の中。
庭に実る、野菜と果物。
しゅういちさん手作りの、黄色い看板。
それは、ただただ、二人の生活を追うだけの、静かなドキュメントで。
二人を知らない人からしたら、なんでしょねー
な映画なのかもしれないんだけど、
小さくて、元気で、可愛い英子さんと、
背が高くて、意志の強そうな、それでいて優しい声のしゅういちさんが
金属のスプーンが嫌いで、木のスプーンでヨーグルトを頬張って、
その木のスプーンが、亡くなられたしゅういちさんの陰膳に添えられていて。
英子さんは、周りの人に助けられ、一人で生きていました。
強く、そして時より、寂しげに。
しゅういちさんの死に顔に泣けてきた。
ドラマで、生きている人が演じる死に顔は見ることはあるけど、
亡くなられた人の死に顔を見るのは、母以来。
人は死ぬと、皆、あんな顔になるのだろうか。
横顔のラインが、あんな風になるのだろうか。
何かに開放されたような、穏やかな横顔になるのだろうか。
風が吹けば枯葉が落ちる
枯葉が落ちれば、土が肥える
土が肥えれば、果樹が実る
こつこつ、ゆっくり
人生フルーツ
繰り返される文章。
じわじわ来る、「人生フルーツ」の意味。
今日という一日をしっかり生きていかないと、
あんな風に、優しく強く、年を取ることはできないんだろうと
思い知らされる映画です。
お近くで上映されていたら、ぜひ。
