ドラマよりも大変、女性整備士の井手さん
毎日.jp 2月22日 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110222mog00m040022000c.html
関連画像23枚+動画 http://mainichi.jp/norimai/air/graph/20110222ANA/
空調がなく底冷えのする格納庫を10キロ以上の重い工具箱を手に持って移動する全日空(ANA)羽田機体メンテナンスセンター(東京都大田区)の整備士、井手芳美さん(28)。
大型ジェット機ボーイング777の整備ライセンスを取得して1年になる。支給された工具にはスナップオン社のレンチセットも含めてすべて名前が彫られている。ライトを手に操縦席の窓ガラスやドアのヒンジなど機体の隅々まで丁寧にチェックしていく。エンジンからは手際よく作業をする別の女性整備士の声も聞こえてきた。ANAには現在116人の女性整備士が在籍している。
井手さんは、父親をはじめ工学系の仕事をする親類が多かった影響で自然と進路を決めた。工業高等専門学校4年生のときの修学旅行で、同センターで見た飛行機の大きさに驚き、感動した。機種は覚えていないが、最高峰の技術が詰まった飛行機とともに仕事がしたいと強く思った。熊本大工学部でチタン材料を研究して05年に卒業、ANAへ入社した。
ドラマ「GOOD LUCK!!」で柴咲コウさんが演じたことでも注目されたANAの整備士。「実際はドラマよりも大変です。入社後は勉強漬けの毎日で、航空機の奥の深さに驚きました」。
マニュアルはすべて英語で、質、量ともに学生時代以上に勉強することになった。777のライセンスを取得した時には安堵とともに自信がついたという。
「みだしなみ」という言葉を大事にするANAらしく客室乗務員に髪を整えてもらってから撮影にのぞんだ。女性という部分が垣間見えた数少ない場面。整備の現場に男女の区別はない。
休日は鎌倉や富士山のふもとまでドライブしたり、九州の実家に帰ってリフレッシュし、ショッピングや温泉に行くことを楽しむ普通の女性に戻る。
「決められた時間にきちんと整備できた時の達成感にやりがいを感じます。いろいろなところで、働けて信頼される整備士になりたい。787も興味がありますが、767のライセンスも取得したいですね」。春にボーイング737のライセンスを取得するべく再び勉強に励む日々が続いている。【米田堅持】
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