イースタンエキスプレス (Eastern Express) 747SP製作 後編です。
前回で下地処理まで完了しました。
これからいよいよ塗装に入ります。
まずしなければならないのはコクピットウィンドウのマスキング。
デカールを使った方が早い&失敗のリスクも少ないのですが、コクピット内部も再現されているキットなので、極力クリアパーツを活かしたいところです。
とりあえずコクピットウィンドウ周辺を10000番まで磨いて透明度を回復します。
ここからどうするかいつも悩ましいところですが、
①窓枠を模した細切りのテープを貼る
→マスキングテープを上から重ねて貼る
→窓枠用のテープを目安にデザインナイフでカットする
→窓枠用のテープ、余分なテープを剥がす
②コクピットウィンドウのデカールをトレーシングペーパーでトレース
→マスキングテープに転写する
→マスキングテープをカットして機体に貼る
のパターンが多いです。
今回は窓枠のモールドにサフが入り込んだため形状が識別できるので、①の手法を選択しました。
だいたい一発目は小さめに切ってしまうので、必要に応じて重ね貼りして修正していきます。
ここを失敗すると顔つきが台無しになるので慎重に。
個人的に苦手な工程ですが、まぁダメならデカールを使えばいいや、という気持ちでいつも乗り切っています。
デカールがないキットは?
気合いです。
前編の記事でも少し触れましたが、エンジン取付部に塗料が乗って接着力が落ちないようマスキングしておきます。
今後の工程を考えて、簡単な台座を作っておきました。
マスキングした周辺にもう一度サフを吹いた後、2000番で磨いて完了。
ちなみに垂直尾翼を磨いている時、力が入りすぎて尾翼がポキッと取れてしまいました...
もともと別パーツだったので仕方ないのですが、強固に接着しつつ慎重に取り扱わなければならないようです。
下地の段階でよかった...
さてまずはホワイトを塗装。ガイアノーツのアルティメットホワイトを使用ました。隠蔽力が強いので、0.5mm径エアブラシと組み合わせて巨大な胴体を塗る際は重宝しています。
胴体下面はベアメタルですが、下地を兼ねて全体を白にしておきます。
胴体上部をマスキング。境界部分はテープを使用し、それ以外は百均のビール袋を切り貼りして使用。
主翼、フェアリング部分、胴体尾部をグレーで塗装。
クレオスの338番を使ったので半光沢となっていますが、この段階では気にしません。
続いてグレーの部分をマスキング。
フェアリングの複雑な三次元形状部分は境界ラインを細切りのテープで、内部はマスキングゾルを使ってみました。今まではあまりマスキングゾルは使っていなかったのですが、マスキングテープをつぎはぎするよりかは時短になったと思うので、今後活用していきたいと思います。
ベアメタルの下地として光沢の黒を塗装。モールドに合わせて白と黒の下地を分けることでパネル毎の微妙な色合いを再現しようという作戦です。
そのまま主翼のコロガードも塗装。下地の黒に若干かかっていますが、どのみち上からまたシルバーを塗るので問題ありません。
最後はクレオスのクロームシルバー2で。
この段階では非常に良い金属感が出るのですが、公式の注意書きにあるようにクリアコートを掛けるとくすんでしまいます。ただ下地が透けていい感じの風合いになるのと、最後は研ぎ出しで強引に光沢に持って行くのであえて使用しました。
続いてエンジン。
こちらの下地は黒一色。
排気ノズル部分の塗装で結局マスキングが必要なので、胴体とは異なり複数のシルバーを塗り分ける作戦でいきます。
まずは全体をクロームシルバー2で塗装。
持ち手用にパイロン内部にプラ版を接着し、クリップで挟んでいます。
ネット上の写真を漁って参考にしながらマスキングしますが、年代やレジによって塗り分けの感じが異なったりするので、最終的には雰囲気で決めます。
塗装完了。
本当はウェザリングを施した方が質感が出ると思いますが、またの機会に...
水平尾翼も塗り分けが完了しました。
当時の747SPを上空から撮影したような写真はほとんど見当たらず、砂漠で朽ち果てている機体の写真を参考にして塗装。
資料が少ないということは、間違っていてもバレにくい、ということでもあるのですが。
さて今回のPAN AMはチートラインが入っていた時代を再現します。
ここを塗装するかデカールにするか...
尾翼のロゴはデカールなので、チートラインもデカールの方が色味も合って確実&早いのですが、案外まっすぐ貼るのが難しいですし、乾燥してから斜めになっているのに気付いたりするものです。
というわけで今回は塗装で再現すべく、まずは調色作業。クレオスの色ノ源シアンをベースに白を混ぜていき、それっぽくは仕上がりました。
チートラインのマスキングは大方ホワイト塗装後の段階で既に済ませていますが、後部が少し複雑な塗り分けとなるので、ここはシルバー塗装後にマスキングします。
チートラインが塗り終わるといよいよPAN AMっぽい!
というよりかはSOFIA(N747NA)っぽいですね。
コクピットウィンドウのマスキングも剥がしましたが、とりあえず及第点といったところ。
胴体下面はこんな感じに。
塗り分けが合っている保証はありません。
くれぐれもご参考にはなさらぬよう...
デカールに進む前に、シルバリング防止のため垂直尾翼のみクリアを吹いて4000番で磨いておきました。
右がBefore左がAfterですが、クリアを吹いたままだと結構表面が凸凹しているので、それを均一にするためであります。
キット付属のデカールはユナイテッド。
やはりディテールが物足りない。
レーザー印刷のため、透け防止用のホワイトデカールは準備されており、特に窓やドア部分は今後のキット製作に使えそうです。
デカール貼りは片面ずつ。
今回使用した26Decalはフィルムも薄く使いやすいです。
選んだレジはN536PA、後にN747NAとして後年まで活躍する機体です。
ポートサイド側も貼り終えたら後はひたすらクリア塗装あるのみ。
ホコリが混入しないことを祈りましょう。
小部品も進めていきます。タイヤはなぜか左右二分割なので塗装前に接着しておく必要があります。かなり面倒です...
ハセガワ1/200のランディングギア支柱なんかは一体型のため、ランナーの状態で塗装したりしますが、さすがに部品点数が多いので組み立ててから塗装することに。
アンテナ、ピトー管類も塗装します。
タイヤは1.6mm径のプラ棒が上手く刺さったので持ち手としています。
組み上がったランディングギア。工作力のある方なら伸ばしランナー等で配管を再現すればかなりリアルになると思いますが、個人的には素組みで満足したのでこのまま進めます。
クリアーが乾燥したら研ぎ出し開始。
4000番から磨き始めます(一部粗いところは2000番から)。一見右翼(写真左側)の方が光沢があって綺麗に思えますが(未研ぎ出し)、表面は細かい凹凸がありますので、これを均一にしていきます。
1/144 747サイズとなるとかなり大変なので1日では終わりませんでした...
研ぎ出しが終わればいよいよ完成に向けて小部品の取り付けです。
自立させるためランディングギアの組立から。
もちろん簡単には組ませてはくれません。写真赤丸部分でギアの支柱と胴体が干渉。一応胴体側には切り欠きがありますが、不十分なので現物合わせで削っていきます。研ぎ出しまで終わった胴体を削っていくのは目立たない裏面とはいえ勇気が要ります。
一番簡単な方法は支柱の端を削って干渉しない高さまで短くすることですが、主翼側のランディングギアと高さが合わなくなるのでご法度です。
ようやく付いたと思えば今度はパネルが取り付けられません。組む順番間違えたか?とも思いましたが、そもそもパネル取付け部とギア支柱が当たるのでどうしようもありません。
とりあえず何とか誤魔化して組立完了。写真はないですがノーズギアもなかなか曲者でした...
レベルのキットなんかは胴体貼り合わせ前にギア支柱を組み込んでおく仕様が多く、途中で折れるからやめてくれとずっと思っていましたが、そういう手法の有難みを図らずしも痛感することとなりました。
とにかく自立はしたのでヨシ!
心配していたエンジンの取り付けは接合部をマスキングしていた甲斐があってかは不明ですが、つつがなく執り行われました。
最後にアンテナ類を取り付けて完成!
苦労した分完成した喜びもひとしお...
こればかりはダイキャスト等の完成品では得られないプラモの醍醐味というものでしょう。
以前作ったレベルの747-8Fと比べてみると、その長さの違いが一目瞭然です。同じ747でも印象が全く異なりますね。パーツの精度、作りやすさなどは比べるまでもありませんが、747の再現度という点ではかなり優れていると思います。
ちなみに脚部周辺の作りがかなりデリケートだったのでスタンドは結局使わず仕舞いでした。展示スペース確保には他の機体に飛んでもらうことにしましょう。
さて、前後編に分けてご紹介したイースタンエキスプレスの747SP。日本では代理店による正規輸入はなく、昨今の国際情勢ですっかり手に入りにくくなってしまいました。
それでも自分が購入したころは送料抜いても約1万円となかなか高価なキットでしたが、製作時の手ごわさ、そして完成時の達成感を考えると決して悪い買い物ではなかったと感じています。
A310やDC-8は金型を引き継いだ(?)他メーカー製品を日本でも手に入れられますが、この747SPは現状そうはいかない模様。
もし何かの機会にこのキットを見かけた時、果たしてこの金額に値するかどうか(買うかどうか)?の判断にこの製作記録が一助になれば幸いです。