私が掲げている公約に「クリーンでアートな渋谷」というのがあります。(公約集はこちら

 

今日はこの取り組みについてご報告です。

 

 

 

社会課題である「落書き」

 

私の地元の渋谷区には「落書き」という社会課題があります。

 

 

 

 

 

  落書きは放置すると増えて治安悪化

 

落書きは、放っておくと次々と落書きを呼び込み、落書きが増えていくという特徴があります。

 

落書き消し事業を行なっている一般社団法人 CLEAN & ARTによると、落書きする人は、最初に小さな落書きを試しに描いてみて、消される気配がないと「ここは描いていいんだ」とどんどん落書きをしていくようになるのだそうです。

 

また落書きする人らには「上書きカルチャー」なるものがあるらしくて、自分のほうが落書きの腕が良いと思う場合は、前の落書きの上にさらに重ねて落書きをするという習慣があるのだとか。そのため落書きの上に、落書きが重ねられていく傾向があるというのです。

 

つまり小さな落書きをされたら、放置せずにすぐ消すのが大事なのだそうです。

 

 

 

また落書きを放っておくと、その周辺に「ポイ捨て」が増えるという因果関係もあるそうです。

 

落書きとポイ捨てに対応を取らずにいると、その付近の環境が汚くなるのみならず、治安の悪化にまで繋がっていきます

 

 

落書きというと渋谷駅周辺の繁華街の課題と思われがちですが、いわゆる一般の方が暮らす民家のシャッターや壁にも描かれてしまいます。

 

 

 

  落書き消しの難しさ

 

落書きする方は数分の快楽なのでしょうが、落書き除去は大変な労力がかかります。費用も高いですし、時間もかかります。

 

落書きされた家の人が自費でそれをまかなうのは簡単ではありません。共同住宅の場合は、管理者の対応方針もありなかなか動けないこともあります。そもそも、また落書きされる可能性もある中で、落書きを消したくても消せないでいる人は多勢いらっしゃいます。

 

 

渋谷区落書き対策プロジェクト

 

渋谷区では独自の「落書き対策プロジェクト」を実施しています。

 

このプロジェクトでは、渋谷区、地域、事業者、警察、ボランティア等が連携し、落書きをさせないまちを実現していくための取り組みでで、特徴的なのは「落書き消去事業」です。

 

(CLEAN & ARTによる落書き消去作業をする現場を視察)

 

渋谷区内の落書きの通報を受ける「落書き通報受付センター」を設置し、通報があった落書きについては、区が率先して消去活動に取り組んでいます。(民間の建物でも落書き消去作業をする)

 

渋谷区内の落書き通報受付センター

050-5526ー2568

 

また落書き啓発対策講座として、落書きの歴史や対策方法、 消去方法を学び、消去体験を通じ「自分のまちは自分で守る」意識を育てています。

 

 

アートの力で落書き対策

 

落書きが繰り返しされる場所については、アートを施すことが、落書きをさせない効果があることが分かっています。そのため都内にもアートによる防止策が講じられているところがあります。

 

 

 

こちらは代々木八幡駅の高架下のアートです。以前は落書きが絶えない場所だったところが、アートによって防止されています。

 

前出のCLEAN & ARTによりますと、「その壁に地域住民の注目があるかどうか」というのを、落書きする人たちは気にしているそうなのです。

 

愛着を持って注目している人がいる壁に落書きすれば、怒る人たちがいるし、警察へ届け出をしたり、落書きした人が分かった場合は賠償の訴訟を起こされる可能性もあります。ですので、落書きする人は、注目されていない、関心を持たれていない壁に絵を描く傾向があるというのです。

 

アートペイントがあることは、つまり「その壁を大切に想っている人がいる」ということが明白です。特に地域住民も参加したと分かるようなアートについては、より多くの人が関心と愛着を持ってその壁を想って注目しているいることが伝わります。

 

CLEAN & ARTの傍嶋賢代表は、壁画アーティストでいらっしゃいます。これまで手がけた壁画に落書きをされたことはほとんどないとおっしゃっていました。

 

多くの人が関わるかたちでのアートを壁にすることが、究極の落書き対策でもあり、街に彩りを添えるというのです。

 

 

インクルーシブ・アートの力で!

 

 

私は、障がいのある人もない人も、多様な人たちが自分らしく輝きながら参加していると実感が持てる社会(インクルーシブな社会)の実現を目指しています。

 

落書き対策について見聞を深めるにつれ、障がいのある方やない方、多様な方達が関わるインクルーシブなアートペイントによって、落書きをさせない街づくりを推進できないかと考えるようになりました。

 

アート活動そのものが、その街の様々な人と人をつなげて、地域のコミュニティーを育てていくような取り組みをしたいと考えています。

 

 

東京でも落書き対策を開始

 

渋谷区は除去作業を続けていますが、落書きする人たちが、落書きをやめない限りいたちごっこになるというジレンマがあると伺っています。なおこの課題は、渋谷区だけではなく、東京全域で起きていることでもあります。

 

東京都ですと落書き対策を所管するのは都民安全推進本部です。一方でアートは生活文化局です。行政は「縦割り」であることを指摘されることが多いのですが、これは事実であります。部署を超えて、同じ課題に取り組むことは簡単ではありません。だからこそ、政治の力でそこをつないでいくことが必要だと考えました。

 

 

そのため、東京都に落書きさせない街づくりを進められるよう要望し、令和4年3月の東京都議会の一般質問で質問をし、東京都が令和4年度から落書き対策に取り組む区市町村を支援していくことになりました

 

 

<一般質問内容>

渋谷区では落書きが課題になっています。景観を汚すだけではなく、ごみのポイ捨てを増長させ、治安悪化につながります。
 

区では、落書き消し事業を立ち上げて消去作業も続けていますが、数が多過ぎて数年にわたる事業になりそうです。そして、費用も膨大です。ですから、消すだけではなくて、同時に、落書きさせないまちづくりを進める必要があります。


落書きは次の落書きを呼び込むので、すぐに消す貼り紙をする、防犯カメラの設置、きれいに掃除することなどが必要なので、行政と地域住民が連携して取り組む必要があります。

 

それでも落書きが繰り返されるところには、地域の人が参加する形でアートペイントを施すことが大きな防犯効果があることが分かっています。(多様な人が参加する)インクルーシブアートの力でまちを守れるようになったらいいなというふうに考えています。

 

東京都にはこうした落書き消し対策をする区市町村を支援する取組を進めてほしいと要望させていただいたところですが、令和4年度の取組について伺います

 

<東京都・都民安全推進本部長答弁>

 

落書き対策に係る区市町村への支援についてお答えいたします。
 

落書き等の軽微な犯罪の放置は、治安の悪化につながるおそれがあるため、地域の安全・安心の向上に向け、落書き対策などを行い、環境美化に努めることが重要でございます。


このため、都は、地域住民の方が区市町村との連携の下、落書き対策に粘り強く継続的に取り組めるよう、地域団体に対して落書き消去活動のための資機材購入の経費を補助する制度を設けております。


また、令和四年度は、区市町村が自ら実施する事業についても、注意のための看板や消去剤、再度落書きがされないよう描く絵画のペイント剤など、落書きの消去や、未然防止に要する経費を補助対象といたします。


こうした支援を通じて、地域の防犯環境の改善に向けた取組の活性化を図ってまいります。

 

新たに、東京都内の区市町村が落書き対策に取り組めるよう、新たな制度が新設されることになりました。これが第一歩として、さらに進めていけるように取り組んでいきます!

 

次は具体的なインクルーシブアートによる落書き対策について書きます!