「もしお手入れがなかったら、生きとられんかったかもしれん…」


先日、母をお手入れさせて貰った後で、母の口から唐突に出た言葉が心に染みた。


「最初は、うつ伏せに寝とるのもしんどくて、肩も首も辛かったのに不思議じゃね〜」


「今は月一回、少しでも間が空いたらどうしようか…と思う。」


と続ける母。


私の母は、見た目と口は元気だけれど、少し難しい病気を抱えており、これまで2度の開頭手術をしている。


手術がうまくいったからといって、治る病気ではなく進行を緩やかにするもの。


手足の痺れと痛み、筋力と身体機能の低下が続くとされ手術を終えた後も、いずれは車椅子生活になると言われていた20年前。


そんな母が月に一度、自ら運転しお手入れを受けに来てくれる。


何かできることはないか?

その様な想いでお手入れを始めた。


2人だけの時間、昔懐かしい話しからこれからのことまで…よく話す。


そして、お手入れをさせて貰っていなければ、直接母に伝えることはなかったかもしれない言葉達。


よく頑張ってきたね…と、母の身体に触れる。この時間で癒されているのは自分自身なのだと思う。


豊かさとはきっと、こういうこと。