もしも愛するものがあったら
遠くにおいて手を伸ばさない事にしよう。
征服は又の名を惨敗という。
これは(タイトルも)
童画という新たな文化を築いた武井武雄さんの「星曜日」に添えられた詩の一節。
目黒区美術館の「生誕130年武井武雄展」へ行ってきました。
展覧会の看板は「星曜日」↓
イルフ童画館の版画展へ行く予定が没になっていたので
この展覧会はすごく嬉しい。
このあと全国巡回するそうです。
イルフ童画館は長野県岡谷市の武井武雄さんの作品を展示する美術館。
息子がまだ小さかった頃、遊びに行ったことがあります。
家にある児童書の多くは施設に寄付したり友人の子どもに譲ったりしたけど
こちらで買った絵本は手放せません。
「木にとまりたかった木のはなし」は
黒柳徹子さんがご自分で作ったお話の絵を武井さんにお願いしていたけど
突然お亡くなりになってしまったため
武井さんの娘の三春さんと一緒に過去の作品からお話に合うものを選んだそう。
私はこの絵本のお話も絵も好きだったのですが
息子は「おこりっぽいやま」がお気に入りでした。
毎晩読み聞かせをしていた当時
どれ読もうか?と聞くと
この「おこりっぽいやま」を持ってくる頻度が高くて
「どっかーん どっかーん」
のところで毎回ツボってました。。
今回の「生誕130年武井武雄展」では
原画だけでなく版画や刊行本も数多く展示されていた。
版画はパウル・クレーを彷彿とさせたり、民芸調のものがあったりと、数だけでなくバリエーションの多さに驚いたし、
デザイナーとしてのセンスが垣間見れた。
フィルム、ゴブラン織り、螺鈿などが使われた刊行本の数々は見とれるほど美しかった。
武井武雄さんが手がける絵本は
挿絵の域を超えてイマジネーションを刺激する
もはや芸術作品だと思います。
童画家と世間では呼ばれるけど
デザイナーでもあり詩人でもあって
哲学する芸術家と呼んだらいいのでしょうか。
上記の「星曜日」の詩では
実際に星に着陸すると石ころだらけで危険も伴うが、夜空を仰ぎ見ると、星はいつも美しく静かに頭上に輝いていると。
解説には、この詩には彼の辛い経験からくる無常観が表れているとあったが
私には、人々の想像力についても語っているように思う。
「平和白書」の絵や詩からは
平和への猜疑心すら感じられた。
所有欲や自分よがりの感情で行動し
過ちを繰り返す大人にはもう期待していない。
だから
子どもに夢を託したのだ。
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レモンの実がぐんぐん大きくなってきました。
アゲハの幼虫もいるけど・・
がんばって!
まだまだ厳しい暑さが続きますので
皆さまくれぐれもご自愛ください。