映画「君たちはどう生きるか」を観てきた。



 

この映画、ベックリンの絵「死の島」が1つのテーマになっていると聞いて観たくなったのだ。


5月に
ラフマニノフが「死の島」に出会って作曲したという、交響詩「死の島」をプレトニョフ氏の指揮で聴いたこともあり
同じ絵から宮崎監督が映画の中でどんなメッセージを語るのかが興味あった。


ベックリン「死の島」


世間はネタばれ禁止という雰囲気だが
感じたことを書き留めておきたくなるような
色々と見どころのある映画だった。

以下、あらすじは書かないので

読んでも、なんのことやら?と思いますが、念のため、映画を観る前に何も知りたくないという方は読まないでください。
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ラフマニノフの曲とは違って

この映画では「死の島」の墓石に焦点があてられていたと思う。

バックで流れる音楽に暗さや不安感は感じられなかった。

全体を通して

「石」を媒介して
 虚構と現世
 善と悪
 生と死
 創造と継承
これらのテーマが語られていたと思う。

私が気が付いた事だけでも、こんなに盛りだくさん・・

そして、ベックリンの絵にはないが

墓石の前の黄金の門に掲げられた
「ワレヲ学ブ者ハ死ス」
という文言に注目する。

この「ワレ」とは何か。


他人が創造したものからは何も得られないということなのか?

知識を蓄えること、机上の論理だけでは生きられないと言いたいのか?

また、これらのテーマと同時に
環境に促され、周囲とぶつかりながら主人公である少年が大人になっていく様子も描かれる。

お母さんが少年のために残していった本
「君たちはどう生きるか」の原作を
彼が見つけるシーンがとても良かった。

言葉で伝えられなかったことを本に託したのだ。
そうすることで彼は
与えられたものに盲目的に従うのではなく
本を読み、自分の頭で考え
そして判断することができたのだ。

映画のお話は戦争を挟んで社会が大きく変化した時代。
自由な生き方は選択できなかっただろう。

その頃とはまた違った生きづらさがある現代
戦争に突き進んだ暗い時代と同じような閉塞感すら感じる今

「君たちはどう生きるのか?」
「自ら学び自ら考えよ」

と言われている気がした。

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エンドロールで米津玄師の「地球儀」が流れ
やさしく背中を押してくれる歌詞とメロディで体がフワッと軽くなった。

 

映画を観てから聞くとさらに感動します。

 


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映画を観てきた日、印象的な夕焼けだった(↓)



 

今週は色々書きたいことがあったけど・・
今日はこのへんで終わりにします。