重苦しい雲が、空一面広がっている
昼ごろ佐世保の母に電話したら
雨が降って寒いという
こちらは夜中から雨が降ると天気予報
遠い距離を思った


母が引っ越して行ってからもう3年ほどたつ
一度行ってみようと何度も思うけど
実際のところ、なかなか九州まで行ってくる時間がない
佐世保に行ったら長崎の兄のところも行きたいし
せめて名古屋あたりだったらいいのにね


佐世保は漁港だから魚が安いという
でも味付けが全部甘いという
長崎は調味料が全部甘いらしい
20年以上住んでいる兄は流石に慣れたらしいが
母はまだ慣れなくて食事に苦労しているという
糖尿病にもよくないのよ…と渋い声


母はまだ70代というのに
すっかり腰が曲がって
身長が低くなったという
体重もすごく落ちたという
大丈夫かな…と遠くから心配を発信しているけど
届いたところで治るわけでなしに
時の流れと己の無力を思った


重苦しい雲が一切なくなって
遠くまで晴れ渡る日のように
病気も何もかも消えてしまえばいいのに


くねくねと曲がる細いあぜ道を行くが如くに
苦労することが人間義務付けられているみたい


荷物はいつも重たくて
よいしょ、とまた持ち直した
こんな荷物捨ててしまえればいいのに
できないのは命の荷物だから


捨ててはいけないんだよ、この荷物は
荷物を切り捨てた時、初めて人は
身軽になってあの世まで空を飛んで行くんだろう、きっと…