今日は、前回のエッセイの、つづきをお送りします。

明日は、ANA既卒総括をお送りします。

響子 その2

わたしの、「連れて行ってくれない?」の一言に、

響子は、にっこり笑って,答えた。

「いいよ、もちろん。どこかで待ち合わせしていこうよ。会場はね、もちろん

花山荘ホテルよ。あづさにもいい出会いがあるわよきっと。」

CAトレーニングセンターでの、授業はスタートしたばかり。

響子は、ずいぶん器用な女性らしい。

午後からは、茶道の授業だった。響子の意外な一面に、わたしは面食らっていた。

見事なお手前を、見せる彼女の額からは、例の縦じわは消えており、少しも、

柔和な表情をくずさなかった。

その夜、早速、響子から電話が入った。そういえば、このときが彼女との初めての

電話でのやりとりだったかもしれない。

「日曜の2時からなんだけど、わたし、美容院にも行きたいから、現地集合1時半でもいいかな?」

「いいけど、美容院なんて、いかないといけないわけ?」

「わたしは、いつも行くけどね~。遊びじゃないんだもん。仕事仕事!あはは~。服装も

重要だよ。ここでこそ、あのチャームカルテで勉強したことが、生きてくるんじゃない」

「響子らしいね。あのさ、もう一人誘ってもいい?」

「いいけど、誰?」

「さやか。」

「何だ~、全然、問題なし!CAなら、じゃあ、日曜にね。またメールするから」

わたしは、なんとなく響子と二人で会場に出向くことに、抵抗を感じていた。

それは、お見合いパーティへの不安ではなかった。パーティで、こなれた振る舞いをして

さわやかな、笑顔をふりまく響子と、同席する不安だった。

次の日、ランチタイムで、さやかに誘いをかけてみた。

さやかは、チャームカルテの相手をお互いにつとめたことから、親くなった。

頭の先から、足の先まで、相手のみだしなみをくまなくチェックし、所感をカルテに

書き込む。記入内容は、担任教官が評価し、かなり厳しいコメントが、教官からも

記入される。

さやかは、わたしより、3つ年上だった。都内の信用金庫で窓口を担当していたらしい。

こつこつと努力をして、晴れて憧れの東洋航空に合格したのだ。

童顔で小柄なさやかは、なんとなく垢抜けなかった。だから、わたしは声をかけたのかもしれない。

「これ以上の、体重増加は絶対にさけること」

そんな、辛口コメントを、笑って流せるタイプの女性だから、クラスの人気者だった。

「ねえ、日曜にお見合いパーティってのがあるんだって。行ってみない?

響子のお誘いなんだけど」

「何それ~!なんだか怪しいけど、行きたい行きたい。幸一には内緒でね。」

そして、当日がやってきた。

つづく。



☆時事問題(プロフィール欄)解答☆

ガガーリン