【映画】エベレスト3D←なんでみんな山登るの…? | 一生懸命空気イス

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ジェイク・ギレンホール(何時間見つめても飽きない)とジョシュ・ブローリン(抱かれたい)目当てに『エベレスト3D』をIMAXで見てきました。

「山すげえIMAXすげえ!」「ジェイクとジョシュでご飯進みまくり!」って大興奮する予定だったんですけれども、見終わる頃には真逆のテンションというか、どよーんとしちゃってびっくりしたよね…

実話ベースだから重要そうなキャラが死ぬし、「山なめんなよ」が行き届いた過酷描写が続くので、見ているだけで割とぐったりするのです。

それはいいの、その容赦ない感じはとてもいいの!好き!好きよ!

だけどよくも悪くも「ハリウッド大作」なので、きれいにまとまっている感がちょっと物足りなくもありました。

いちばん伝えたいことは「山怖えでもすげえ」なのか「登山者が持つドラマ性」なのかイマイチ理解できず、あああもっと丸め込まれたかったなああ!というのが本音です。

たとえば「山怖え」については、天候が変わりまくって登山者を襲いまくるとか、凍傷とか酸素不足とか「うわもう辛いことしかないわ山怖え!」という描写はたくさんあるんですけれども、「怖え」のあとに「それでも思わず登らずにはいられねえ」という気持ちが私には起こらなかったんですね。

本作はタイトル通りエベレスト登頂モノでして、定番の「人はなぜ危険をおかしてまで山に登るのか?」という問いかけが、テーマとしてかかげられています。

だけれども、残念ながら私は問いに対する答えは見出せず、むしろ「周りに多大な心配と迷惑をかけてまでなぜ山に登るのか?」もとい「なぜむざむざと死にに行くのか?」という新しい疑問と憤りにも似た感情が生まれてしまう始末…

だって登山するためにみんな700万ぐらい払ってね、それでも体調不良や天候悪化で断念せざるをえない時もあるし、それどころか体調崩したり体のパーツを失ったり、死ぬことだってザラにあるわけですよ。

なんなら家に女房子供残して「生きるより死ぬ可能性が圧倒的に高いこと」をしに行く人もいるわけでね、エベレストなんて極限状態ですからひとりコンディション崩すと周りもめっちゃくちゃ手を焼くわけでね、もうなんで、

なんでみんな山登るの…?

という、げんなりした気持ちから来る疑問だけが残ってしまったわけです。

劇中では登山者たちが「そこに山があるから!」「頂上からとてつもない絶景が見られるのに登らないなんて罪だ!」と答えるシーンがありますが、言葉だけではやっぱり伝わって来なくて…

登山隊のメンバーに新聞記者がいて、「それじゃ答えになってないよ」と返すんですけれども、まったく同感。

「山の魅力は登った人にしかわからない」というのならそれでも構わないんですけれども、せっかく3D映画なんだから、登ったのと同等にはもちろんならないにせよ、山に圧倒されたかったなあ…映画で山の魅力感じたかったなあ…とちょっぴり残念に思いました。

学校行事の山登りレベルの経験しかない“山ド素人”の分際で、映画を通して登山者に感情移入したいと願うのはわがままだったのでしょうかね。どちらかというと、登山者の帰りを待つ家族モードのスイッチのほうがぐいっぐい押されてしまった感じがします。
「あたしたち残して山登って死なないでよ!」っていうね。

ちなみにタイトルにもある「3D」、映像に関しては正直そんなにグッとくるものはありませんでしたが、IMAXだと音がすんごく、良かったです。
劇場まで走って行ったから汗だくだったんですけれども、吹雪の音聞いたら一発で体が冷えたよ!

▼映画『エベレスト3D』公式サイト
http://everestmovie.jp/sp/

なお目当てだった私のジェイクとジョシュですが、酸素不足でふらふらになったり氷漬けの危機に見舞われたり、弱った表情がSo Sexyでほんとうにごちそうさまでした。


* * *

「山怖えドラマすげえ」がそろった名作といえば『アイガー北壁』が好きです。
国の威信をかけて登らなくてはならない、という使命感がドラマチックで、クライマックスの絶望感へのフリも効いていて色々グッとくる山映画でした。
これこそIMAXで見たいんだよう…

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