私は、お正月に、実家へ帰った。
いつも、ボロボロのかばんを持っている母が、1000円くらいの安いのでいいから、かばんが欲しいと、言い出したので、久しぶりに、母と二人で買い物へ出掛けた。

 母は、罪悪感からか、自分の持ち物に、お金をかけることを、とても嫌がる性格で、たまに高いものをすすめると、怒ってしまうほどなので、予算1000円というのは、きちんと守ってあげないといけないと、思った。
母は、「おしゃれが全く分からない。」と言って、いつも私に意見を求めてくるので、私がしっかり見立ててあげないといけないな、と思い、母が気に入りそうな店を探し、何件も連れて行った。
しかし、なかなか、母が気に入るものは、見つからなかった。

 あきらめかけた、その時、母が急に走って、さえないリサイクルショップへ入っていった。
「このタイプの店には、いいのないと思うな~」と、思いながら、後を追うと、母があるかばんを握りしめ、「これにする!」と、言い出した。かばんの値札には、「8900円」と、書いてあった。
私が「あー、これ予算オーバーだよ。」と、言うと、「いいの、お母さんこれにする。」と、言って私を振り切りレジに走った。

 あとで、そのかばんを調べると、私も憧れのブランドのもので、定価3万円もするものだった。

 母、私より断然センスあるじゃん、と、思った。







愛の世代ズ たべ。