本日の午後、最近見掛けなくなった、昔のもんぺ姿で乳母車を押したお婆ちゃんが、施設を訪ねて来られました。

私が対応に出ると、

「乳母車に乗せている犬をあげると云うのです。」

そこで、私は、

「ここは飼い主のいない動物を保護するための施設ですから」最期まで飼ってあげて下さい」

とお願いしました。

このお婆ちゃんは私の説明が理解できないようで、

乳母車に乗せてあると云う犬に掛けてあるタオルを捲ると、そこには薄汚れたぬいぐるみの犬が寝かされていました。

私は痴呆が出ているお婆ちゃんだと思い、

「犬と最期まで一緒に居てあげて下さいね」

「帰る道は解りますか?」

と尋ねると

ハイと言って田布施方面へ帰って行かれました。

施設に入りましたが、気に成ったので表に出て帰って行った方向を見ると、お婆ちゃんの姿は何処にも在りませんでした。

ちなみにですが、今の施設に変わってから、11年以上経ちますが、一度も見掛けた事も無いお婆ちゃんでした。

また田布施方面へは、500mほど直線で早くても数分間は姿が確認できます。

いま、あのお婆ちゃんは何者だったのかと考えています。