当会に、某兵庫県内の保護団体さんから、一本の電話相談を頂きました。
内容と致しましては、保健所から救助した柴犬の成犬を、フィラリアの検査と、血液検査を受けさせ異常が無く健康と診断されたので、安心して里親様に譲渡したそうです。
ところが、譲渡後1週間くらいたった頃から食欲が無くなり精密検査を受けさせたところ、「子宮蓄膿症」と診断され子宮の摘出手術(費用は18万円)を受けさせたらしくその費用を負担して欲しいと申し出られ、トラブルに発展しそうなので、この様な場合の対処法をアドバイスして欲しいとの事でした。
譲渡契約締結後に発症した病気に付いては里親様の責任において治療させるのがルールかと思いますし、譲渡契約書にも記載されていると思いますが、この里親さんは健康と説明されたから譲渡を受けただけで病気だと解っていたら、譲り受けなかったとの一点張りで、徹底した検査を受けさせて譲渡する責任が保護団体には在ると言い張って話し合いにも成らず、説明も聞いてくれない様で困り果てていました。
私としては、保護団体としての、国が定めた動愛法の基準を説明して納得して貰うしか方法が無いのではと団体の代表にアドバイスしましたが、説明を聞いてくれれば良いのですが、と不安しかないようでしたので、話し合いの席に同席させて頂き、動愛法に定められた保護団体(第二種動物取扱業)に与えられた義務の説明だけならさせて頂くと言う条件の下で、里親さんにも了承して頂き話し合いに同席させて頂きました。
その結果として、徹底した検査とは何の検査が必要なのか基準がないのですから、曖昧だと言う事と、動愛法では検査を受けさせなければならない義務はない事を説明しました。
フィラリアの検査と血液検査はこの団体さんが、自主的に安心して里親さんに譲渡するのに必要と考え受けさせた検査で在る事を、理解して頂きました。
しかし里親さんは、譲渡諸費用と手術代、合わせて21万円もお金を出すなら、ペットショップで購入した方が良かったと言い出したので、団体の代表に諸費用だけ全額返金して引き取る方が良いのではとアドバイスして、里親さんと話し合った結果、諸費用全額と病院代18万円の内5万円を支払って契約を解除して、一応の和解と成りました。
保護犬の事を全然理解していないうえ、命在る物を飼育するリスクも考えずに保護犬ブームに乗り遅れない為だけに、保護犬を譲り受ける里親さんがいる事を肝に銘じ、譲渡する里親様を選んで下さい。
譲渡契約締結後に発症し、発覚した病気に対して医療費を返せと言う人が居る事に驚きました。
譲渡契約を締結させた後は、里親さんの子供に成ったのですから、医療費は親が負担するのは当然の義務です。
誤解を招いているようなので、追記させて頂きます。
私が問題にしたのは、譲渡締結後は、譲渡された子は全ての権利も義務も全て里親様に移りますから、里親様の義務において医療にかけるのが、当然の結果で、その費用を保護団体に求めるのは問題があるのではと言う事です。
避妊去勢は保護団体の考え方などの違いにより、譲渡後里親様にお願いしている団体も在ると思います。
当会も里親様にお願いしています。
当会で去勢避妊手術後に譲渡するとなれば、譲渡諸費用が高額に成ってしまいます。
ただでさえ、野犬の成犬の里親希望者様が少ないのにこれ以上里親様が減るような事になれば、成犬は救助できなくなります。
まさに理想論の綺麗毎だけで保護活動は成立しません。