大企業社長×零細企業社長


某有名なブランドのソファー。それとお揃いのクッション。秘書の人に出されたティーセットもそれらと同じものだ。ブランドとかには疎い俺でも聞いたことがあるほどの有名ブランド。
そんな違う次元に来たかのようなこの部屋に通されて早20分。落ち着くことも出来なければ、下手に動く事も出来ない俺は金縛りにあったかの様にせわしなく視線だけを動かすことしか出来なかった。


ここは超有名企業ヴァリアー。この世界に知らない人がいるのだろうか?ってぐらい世界的にも一目置かれた大企業。色んな仕事にまで手を広げ、最近じゃ石油関係にも手を出しているとかでそれをきっかけにどこぞの国の王族とも交遊があるとか。

それと比べて俺の会社は父親から受け継いだ小さな小さな会社。従業員も俺をいれてたった5人。仕事だって俺の器量が悪いのか下請けの下請けぐらいの仕事を取ってくるのがやっとの零細企業。
しまいにゃ借金も出来てしまっていよいよヤバいそんな時大企業様にダメ元で交渉した結果奇跡的にも取引の約束をこぎつける事が出来た。


初めての大きな仕事をで緊張と興奮で体を震わせながら相手を待つ。専務かその辺りのお偉いさんが来るのだろう。そう思うと握った拳にますます力が入る。こういった雰囲気は大の苦手だが何たって今俺には従業員5人の生活が託されてる訳だ。気合いを奮い立たせていると、ドアが開いて誰かが入って来た。
ついに来た!と勢いよく立ち上がって深々と礼をする。

「あ…あの!ボンゴレの沢田綱吉です!今日はありがとうございます!」

ふと顔を上げると何と直接取引には顔を出さないと有名なヴァリアーの社長ザンザスさんだった。


「えぇっ!?……あの…その…はじめまして……沢田…」

「知ってる」

「この度は私どものような…」

「あー…そうゆうのいい。うぜぇ。どうせ取引のことだろ?」

「すすすすみません!!」


ザンザスさんはかったるそうに俺の目の前のソファーに腰掛け、卓上に足を乗せた。

「おら。それよこせ」

「え…あ!はい!」


ザンザスさんは俺の持っていた取引の内容と契約書がついた書類を指差した。慌てて渡すとザンザスさんは判を取り出し、内容すら読まず、ただおもむろにそれを押した書類を速攻で突き返してきた。
「これでいいだろ」

あまりにも簡単なやり取りに俺は嬉しい反面パニックを起こして初めに出して貰った紅茶を零してしまった。それはもう見事に紅茶は宙を舞い、最悪な事に社長さんの高そうなスーツにまで零してしまった。

「ああああ!!すみません!すみません!」

慌てて自分のハンカチで社長さんのスーツの染みを必死に拭うが染み付いてしまったのか全く取れない。自分の失態に思わず涙が込み上げてくるがそんなのおかまいなしに染み抜きに意識を集中させた。



「おい」

「すみません!俺弁償するんでっ…」

「……」

「本当…俺に出来ることなら何でもするんでっ…あの…!」

「何でも?」

「はいっ…あの…だからっ…!この話無かった事にしないで下さい!!」

「いいだろう」

「よっ…よかった!ありがとうございま…」

「ただし条件がある。この契約書にも承諾しろ。」

スッと出された金の縁取りの契約書を目の前に突き出された。それには細々と色々と記載されている。もっとよく見ようと思ったが、

「5秒以内にサインしねぇと無効だからな」

「うぇぇぇっ!?」


その言葉に焦った俺はペンでガリガリと早急にサインした。急いだせいでサインの文字が酷く歪んでしまった。何とか間に合ったとホッとしたのもつかの間、ザンザスさんがいきなり真横に座った。それも間隔は0ってくらいに近距離。

「ちょっ…ザンザスさん?」

「じゃ。よろしくな綱吉。」

「ふぇ…?」

あっという間にザンザスさんに引き寄せられたかと思ったらかぶりつくような濃厚なキスされた。本当文字通りのかぶりつくようなキス。

「ん~~~~っっ!?」

何が何だかわからずぐるぐると思考を巡らせてると、やっと解放された。


「なっなっ何するんですか!?」

「ふんっ…契約書にサインした自分を恨むんだな」

そう言ってザンザスさんはニヤニヤと意地悪そうに笑って先程俺がサインした契約書を指差した。
さっきは急過ぎて目を通してなかった文字をゆっくりと読むと『契約事項』と記されていた。その下には『契約内容を破った場合はそれ相応の罰を受けるものとする』と太字で書かれていた。
そして契約事項の一番上の項目には

『沢田綱吉は今日からザンザスの恋人となること。浮気した場合と別れを切り出した場合は即刻罰を受けるものとする』


「とゆう事だ。これからよろしくな沢田社長」

「えっ…」

ザンザスさんは呆然とする俺の頬に軽くキスして部屋を出て行ってしまった。


「……ええええええっ!!??」


俺の声は無駄に広い部屋に虚しくこだまするだけだった。






END