藍嶺(+トキ音)ー「君が1番」 | aimy日記

aimy日記

好きなことを好きな時に

好きなよーに書いてます。


藍ちゃん好きな人、
うたプリ好きな人、

待ってますよ。

※腐向けです。



嶺藍にしたかったけど、藍嶺になった。

いろいろあるよね、うん。

この2組は似ていると思う。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



アイアイとケンカした。

理由はすごく単純。ぼくが無理をして体調を崩したから。

仕事を詰めすぎたのが原因。何で詰めたかなんて、言うまでもない。アイアイと過ごす時間を長くしたかったから。少しでも同じオフの日が増えたらいいなって思ったから、だからがんばった。アイアイと、久しぶりにドライブデートしたかったし、アイアイも行きたいって言ってくれた。

でも無理が祟って、昨日ようやく最後の仕事が終わる頃にはフラフラで。そんなときにアイアイと偶然会って、明日オフだねって言いかけて倒れた。

何やってるのって、こっぴどく叱られながら楽屋で介抱を受けた。バカじゃないの、ご飯食べてないでしょ、寝てないんでしょ、とそれはもう思いきり言われた。いつもならこんなとき、ごめんねって謝って、心配してくれてありがとうって、それで済んでたはずなのに。

そのときは、泣きたくてたまらない気持ちになった。自分勝手だったけど、一生懸命だった。すごくがんばった努力を、1番喜んで欲しかった相手に全部否定されたような気がして・・・・・・



「アイアイと、一緒にいたかったから、やったんだよ・・・・・・」
「はぁ、それでこんなことになってたら、本末転倒だよね。無理しちゃダメに決まってるでしょ。いい大人なんだから、周りに迷惑かかることも考えなよ。今日はたまたまボクだったから良かったけど・・・・・・」
「・・・・・・」



もう無理、って思った。かなりアイアイの言葉が胸に突き刺さって、年上とか男だからとかいろいろ無視して泣きそうだった。女々しいなって、自分でも思ったけど。自分の非ももちろん認めてるけど、だって・・・・・・

それでも泣き顔だけは絶対見せたくなくて、まだ頭もクラクラしてたけど、無理に立ち上がって荷物を持った。



「ちょっとレイジ、立ったらダメ、」
「もう帰る・・・」
「は?何言ってるの、また倒れるよ。スタッフさんに送ってもらえば、」
「ぼくのこと迷惑なんでしょっ・・・別に、タクシー呼んで帰ればいいし・・・」
「レイジ、怒ってるの?」
「・・・・・・もう、いいよ・・・だって、・・・分かってるけど・・・そんな言い方ないよバカぁっ!アイアイの分からず屋!」
「っ、レイジ!・・・・・・もう!分からず屋はどっちだ!」



思わず手に持っていたお気に入りの帽子をアイアイの胸に向かって投げつけ、そのままアイアイの声も無視して外に出てしまった。偶然にも投げつけた帽子は、アイアイがぼくに初めて買ってくれたプレゼントだったのに。アイアイからのプレゼントをあんなふうにしちゃったら、さすがに悲しむよね、怒るよね、っていろいろ思ったけど引き返せるわけもなかった。



――――――……



「・・・うっ・・・ふ・・・うぅ・・・」
「れいちゃん、大丈夫?」
「ア、アイアイ、ぼくのこと、嫌い、になった、かな・・・?」
「そんなことないよ!じゃなかったら俺たち、ここにいないよ?」



今朝になって、家を訪ねてきたのは自分の直属の後輩であるおとやんとトッキーだった。

昨日から何回も、アイアイからメールと電話が来たけれど、気まずいし怖いし何言われるか分からないしで、朝まで見ることすらできなかった。朝になってようやく携帯を開くとメールは5件だった。

倒れてないか、無事に帰れたか、ご飯は食べたのか、早く寝て欲しい。そんな内容のメールが夜10時頃に3件。そして今朝早くに、体調確認と、家に言ってもいいかという質問メールがあり、その30分後には、おとやんとトッキーに看病を頼んだという旨が書かれていた。

最後に書かれた、ごめん、のひと言に、なんだか涙が溢れてたまらなかった。すごい心配してるのが分かった。だから余計に何を話せばいいのか分からなくて・・・怖くて何も言えない。臆病者だ。

ベッドの脇に座るおとやんが、ひまわりみたいな笑顔でぼくの顔を見ていた。



「藍先輩、不安そうだったよ?メール返ってこないから、もしかしたら倒れてるかもって。自分じゃ嫌かもしれないから俺たちに頼んだんだって。そんなわけないのにね?」
「アイアイ・・・」
「今日はしっかり休まないと。れいちゃんが元気ないと、俺も不安だよー」
「お、おとやん・・・うぅ、ありがとぉ・・・」



おとやんの優しさにすごくホッとして嬉しかった。こんな先輩を助けてくれて、本当にいい後輩だって思う。トッキーもずっと家のことや朝食までしてくれている。

体調はまだ悪いけれど、心は少し回復してきた。

それでも。



「今日せっかくのオフだったのに・・・」
「れいちゃん、がんばりすぎたんだよー」
「だって・・・デートしたかったから・・・なのに、アイアイが頭ごなしに怒るからぁ!ぼくアイアイみたいに上手くできてないもん、ばかだもん・・・あんな強く言わなくたっていいじゃん・・・」
「それすっごい分かる!俺もれいちゃんと同じでさ、しょっちゅうトキヤに叱られるし。バカだから突っ走って、体調崩して、叱られて。がんばったのに!って、思うんだよね」



共感して頷いてくれるおとやんに、すごく励まされた。布団をぽんぽん叩く手も温かい笑顔も、めちゃくちゃ嬉しくて、おとやんがお兄さんみたいだって言ったら、俺もれいちゃんが弟になったみたいって嬉しそうに笑ってくれた。

不意に寝室の扉が開いて、朝食を持ったトッキーがこちらを見てギョッとした。



「寿さん、貴方また泣いたんですか・・・・・・酷い顔ですね」
「し、仕方ないじゃん!」
「音也、後片付けをお願いします」
「ラジャー!」
「あ、その、2人ともありがとう」
「いいっていいって♪」
「早く治ってもらわないと困りますから」



おとやんと入れ替わるように今度はトッキーがぼくの隣に座って、お盆に乗せられたお皿をこちらに向けて淡々と告げる。



「お粥です。起きられますか?」
「う、うん・・・」
「なら座って少しでも食べてください。美風さんに連絡しないといけませんから」
「アイアイに?」
「えぇ。きちんと食事を摂っているか報告してほしいと。貴方が連絡しないからですよ」
「だってぇー」
「だってじゃありません。子どもですか」



全くもう、とため息をつきながら横目でぼくがお粥に口をつけたのを確認して携帯を取り出す。なんかお母さんみたい、とは心の中で思っても口には出さなかった。怒るから。今はあんまりトッキーをからかう元気もない。



「おいしいよ、トッキー。ありがとう」
「どういたしまして。ですが、美風さんにもきちんとお礼をしてください」
「うん、分かってるんだけど・・・」



そう簡単に言われても、すぐに、はい分かりましたとはいかない。

煮え切らない態度のぼくを見かねたのか、またため息をついて、それからぼくに背を向けた状態でベッドに座りいつものように腕を組んだ。トッキーのクセだ。



「何故お互いに想い合っていて喧嘩になるのですか。喧嘩する必要なんてないはずですよ」
「ほんと、何で逃げちゃったのかな・・・・・・」
「・・・・・・貴方らしくありませんね」



いいですか、とひと言前置きをしてトッキーがゆっくり話し始める。



「美風さんは、心優しい方です。心配こそすれど、今朝は少しも寿さんを責めていませんでした。私なら責めてしまいます。最初に美風さんがそうしたように、強い言葉で叱るでしょうね」
「うん・・・・・・」
「人が倒れるということは、彼にとって非常に怖いことだと言っていました。トラウマでしょうか、私には分からなくても、貴方には分かるのではありませんか?」



その言葉にハッとさせられた。そうだった。アイアイは、自分が人とは違うからと言って、分からないことが起こるのを1番不安そうにする。特に病気や生死のことになると。いつだってそうだったのに、ぼくは知っていたのにすっかり失念していた。目の前でぼくが倒れたら、やっぱり怖かったに違いない。

アイアイの気持ちが分かって、ぼくはじわりと涙が目元にたまったのが分かった。

それを見たトッキーが、急に声のトーンを変えた。雑談をするときのような、落ち着いた色の声。



「私のCM、知っていますか?」
「トッキーの・・・?野菜ジュースのやつ?」
「えぇそうです。キャッチコピーは何か分かりますか?」



突然そう聞かれて、ふるふると首を横に振った。

トッキーは、優しそうに呟いた。



「『私が愛する君を愛して』ですよ。ダイエットをする女性に向けた言葉です」
「う、うん・・・?」
「どんなに周りの人が自分を愛してくれていても、自分自身が自分を愛さなければ意味がないんです。自分を大事にしてください」



美風さんが悲しみますよ、とトッキーは付け加えるように言ったけれど、その頬が少し赤くなっているのを見てこの言葉がトッキー自身から発せられているのだと理解する。本当に優しく実によくできた後輩だ。

そして、不甲斐ない先輩であるぼくは、また・・・・・・昨日から、やたら涙腺が緩みっぱなしだ。

食べ終えたお皿をトッキーに預け、ぼくはガバリと布団を頭まで被って伏せるようにした。



「泣くのは、美風さんの前にしたらどうですか、後輩の私ではなく」
「ムリ!カッコ、悪いし、情けないし、余計に、嫌われちゃったらどうするのっ・・・」
「何と言うか、今更な気もしますが・・・」
「ひ、ひどい・・・!」
「とにかく、仲直りしてくださいね」
「うん、分かったよ」
「っ・・・!?」



ドアの方から聞こえた声に体がビクリと反応してしまった。布団越しに聞こえたアイアイの声。

あとはお願いします、とトッキーが言い、おとやんを連れて帰ってしまった。遠くで玄関の鍵を閉める音がして、再び近づいてきた足音に一気に緊張感が高まって心臓がバクバクして。

パタ

パタン

寝室のドアが開いて、閉じた。トントンと足音が近づいて、ギッとベッドがきしむ音と共にベッドごと体が揺れた。アイアイがすぐ横に座っているのが分かる。

どうしよう。

電話もメールも無視したし、昨日アイアイにあたっちゃったし、顔見れない。



「レイジ」
「・・・・・・」
「・・・・・・まだ怒ってる・・・?」



布団をクイッと引っ張られたけどボロボロになった顔を見られたくなくて、意地になってまるで引きこもるみたいに頑なに布団を被り続けた。

子どもみたいだ、自分。

不意に、上半身を包み込むみたいに布団の上から抱きしめられた。



「オトヤから聞いたよ。・・・・・・分からず屋で、ごめん。強く言い過ぎて、ごめん。がんばってたよね、レイジ・・・・・・なのに、ボクに否定されるみたいな言い方されて・・・泣くくらい、辛かったね・・・?」



か細い声でたずねられて、ぼくは必死で首を振った。



「平気なフリしないで、辛かったって言って・・・・・・反省してる、冷たいこと言ってごめん。オフ合わせようとしてくれて、嬉しかった。今日、楽しみにしてた」
「っ・・・・・・」
「ありがとう。もう、こんなになるまで無理したらダメだよ」



どうしよう、嬉しくて嬉しくて、涙が止まらない。

ぼくも言わなきゃ。



「ぼ、くも・・・・・・」
「レイジ」
「ごめ・・・・・・心配、かけて、メール、も、電話も、無視して、ごめ、んね・・・帽子、投げて、ごめんねっ・・・」
「いいよ、そんなの」
「怒らせて、ごめん・・・不安に、させて、ごめ・・・・・・デート、行けなかっ・・・」
「ううん。いい、レイジの体が1番大事」



上からギュッと抱きしめられてそんなふうに言ってもらえて、ぼくは世界一の幸せ者だ。



「ねぇレイジ、そろそろ布団から出て来て、・・・って、もう、そんなに嫌なの?」



急に布団を引っ張られて慌てて手に力を込めると、アイアイが困ったような声を出した。どこか笑っているような気もする。



「ダメ?」
「やだ・・・ほんとひどいから、幻滅するから・・・」
「オトヤとトキヤはいいのに、ボクはダメ?」
「だって・・・」
「一緒にいたら、またこういうこともあるかもしれないし、泣く度にミノムシになられちゃ大変だよ」
「うぅ・・・」
「出ておいで?」



大丈夫だから、って言われて少し布団を下げた。そっと目から上だけを出すと真上から顔を覗き込んでいるアイアイとバッチリ目が合って、慌てて隠そうとしたけど無理だった。

手で顔を覆う。



「ダメ。もっとよく見せて」
「や、やだっ・・・!」
「仕方ないな」
「アイアイっ・・・」



半ば強引に手をどかされて、隠すものが何もない。

間近で見つめ合えば、ごく自然な流れとでも言うかのようにスッと唇が寄せられたので、ぼくも黙って受け入れた。アイアイのキスは優しくて好きだ。軽くついばむみたいな、ちょっと触れ合わせて唇で挟むだけ。気持ちいい。

アイアイに手を握られて嬉しくなって握り返したら、引き寄せるみたいに腰の下から背中に手を回された。

ようやく解放されて息をつくと、アイアイは優しい顔をしていた。



「頬も鼻も赤いし、まぶたは少し腫れてるけど、大丈夫そうだね。まだ体温が低いから心配だけど」



もう1度ぼくをギュッと抱きしめて、体温を分けてくれるみたいにぴったりくっついてきた。アイアイはわざと自らの体温を上げているように思う。触れ合うどこもかしこも温かかった。

あ、と何かを思い出したようにアイアイは起き上がると、ぼくの頭にポンと何かを乗せた。

帽子だ、アイアイからもらった大事なやつ。



「良かった、帽子・・・壊れてなくて・・・1番のお気に入りだったから・・・」
「うん。いつも被ってくれてありがとう」



もう1度チュッとキスされて、じわじわと温かい気持ちが広がって、今度は嬉し涙が溢れた。

するとアイアイはちょっと不満そうな声を出した。



「ボク以外に見せちゃダメだよ、その顔。すごいそそられる」
「何言って、」
「普段泣かないからかな・・・・・・なるほど、これがギャップってこと?」



自分で疑問を提示して自己完結して、それはそれでアイアイらしくて可愛いけど言ってることが全然頭に入ってこない。



「可愛いし」
「え?」
「いつもと違って、守りたくなる感じ」
「はい?」
「ただでさえレイジはファンサービス過剰で心配なのに、今以上のものを公共の電波で発信するなんてダメなんだから」
「・・・・・・アイアイ、1回メンテ行った方がいいよ。それか眼科」
「ボクが眼科に行って何になるって言うの」
「だってアイアイおかしいんだもん!」



さも当然のごとく言われるから何が何だかよく分からなくなってきた。でも今のところの自分の理解が正しければどう考えてもおかしいのはぼくじゃなくてアイアイのはずだ。

泣いてボロボロになってる顔のどこがどうなったら可愛いに繋がるんだか。



「アイアイ色眼鏡かかってるんだよ」
「それを言うならレイジだってちゃんと自分を見たら?その顔で外歩いたら襲われるよ」
「は!?」
「もっとも、そんなことさせないけど。っていうか、イヤらしい目でレイジのこと見るヤツなんか、ボクが一瞬で存在をデリートして、」
「のわっ、アイアイ物騒だよっ、止めたげて!!」



どこでどういうスイッチが入ったか分からないけど、明らかに本気のアイアイをどうにかして止める。まぁ、気持ちは嬉しいんだけど。



「アイアイに愛されてるだけで、十分だよ」



大好きだよ、アイアイ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



野菜ジュースのCMは公式ネタ。

いつか使おうと思ってた。