2016年に古田新太さん主演で上演された『乱鶯』
なんかもっとおどろおどろしくておっかないお話かと思ったら、意外にも歌舞伎で言うところの世話物風で、江戸町人のお話だったーあ、もちろん、ばっさばっさと人は斬られるけどね、基本人情話なので、こういう世界観好き
古田さんは、安定の古田さん←どういう意味じゃ
元盗賊の頭、鶯の十三郎、襲われて瀕死の状態から命を救ってくれたお役人さんと、傷が癒えるまでお世話になった居酒屋の夫婦に恩返しをするんだけど、強面なのにどこか可愛くてユーモラス
こういうのお得意よね
その居酒屋の女将お加代が、稲森いずみさん華奢で可憐で、守ってあげたくなる感じが程よくて、古田さんとの並びは、美女と野獣
←ごめんなさい
でも、そこがいい
見目じゃなくて、十三郎の心根に惚れてるんだなってわかるから
お加代の旦那さんは粟根まことさん、病で亡くなって幽霊として、お加代と十三郎を見守ってるんだけど、2人のことが気になってちょいちょい出てきちゃうこれがまたなんともチャーミング
2人を妬くどころか、お加代のためにも、一緒になってもらいたいと思っちゃってて、いい人過ぎる
かたや、もう、これでもかって言うくらい極悪非道なのが、橋本じゅんさん演じる火縄の砂吉じゅんさん好きだけど、今回は、砂吉大っ嫌い
ってなったから、やっぱりなりきり度が凄いんだ
聖子姉さんのちゃきちゃきした呉服屋の女将も、お役ぴったりで、気持ち良かったなぁ
あーおもしろかった
で、江戸の下町のお話つながりで、ひさしぶりに『川霧の橋』初演の映像が観たくなり、がっつり堪能
だってね、『乱鶯』ラストの十三郎が悪徳上役人を成敗しようと決意するシーンと、『川霧…』のラスト近く、半次が清吉を始末しに行く決意をするところがオーバーラップザ・男気ってやつ
うたみみコンビの『川霧の橋』映像を何十回も観たから、もう全部頭の中に入ってると思ってたけど、細かいところ抜けてたそして、やっぱりいい
映像だと、ついつい退屈なシーンは早送りしたくなるけど、この作品はそういう部分が皆無どの場面も大事で、見逃せないの
程よい抜け感もあるし、主要な登場人物全てにしっかりとした物語があって、どの場面を切り取っても名場面
本当に名作
原作は山本周五郎さんの『柳橋物語』と『ひとでなし』
当時の月組さん、芝居巧者揃いで、宝塚歌劇だってことを忘れる位の仕上がり
現在、博多座で新生月組さんが上演中ね
10/30(土)には配信もあるので、どんな感じになってるのか、そちらも楽しみ