②『贋作 桜の森の満開の下』耳男と夜長姫と桜 | 毎日がミュージカル♬舞台好きのつぶやき(第一章)〜完

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(第一章完了。現在は投稿していませんが、大切な記録として公開中です)
全力でミュージカルや演劇の世界を楽しんでいます。
そんな毎日の中で感じたこと、これまでの振り返りなど、気ままに綴っていきたいと思います。

えーおねがいでは、これより、私なりの『贋作 桜の森の満開の下』の解釈及び疑問点などをつらつらと書き述べてみたいと思いますメモ

 

まず、大前提として、本作は、坂口安吾さんの

『夜長姫と耳男』

『桜の森の満開の下』 

『飛騨・高山の抹殺~安吾の新日本地理・中部の巻』

『堕落論』

の4つの作品からモチーフを取り出して、そこに野田さんが、壬申の乱~大海人皇子の国造り、鬼伝承、俗物的な人間の目に見えるものなどのエピソードをを織り交ぜて書かれた作品本

 

ゆえに複雑で、それらのモチーフに関係のある事柄を、せっせとネット上であれこれ検索して、私の頭の中であれこれと反芻して解釈を進めていったのだけど…

散々、調べた挙句、これってもしかしたら公演パンフレットとかに正解書いてあるんじゃねキョロキョロって、身も蓋もないことを思ったりあせる

でも、ここまできたらもう自力で最後まで考える!!ってしたので、「それ、違うよーバイバイ」とか「それについてはここに詳しく書いてあるよーひらめき電球」とか、もしあったら、教えて頂きたいと思いますウインク

 

長いし、本作を観られていない方にはなんのこっちゃだし、観たことないけどいずれは観てみたいと思われている方にとっては、先入観ができてしまうと困るので、ここまでで注意

 

 

では、参りますグラサン

 

これは”耳男という1人の若者の成長物語”ねー耳

 

まず、大きな耳を持つ耳男がどんな人間であるか…

 

旗ラストに「もう帰るところがありませんから」というセリフがあるので、恐らく親兄弟や家もない孤独な若者で、飛騨匠の名人に弟子入りしたものの、いまだノミの使い方も教えてもらっていないもやもや

旗毎年毎年、満開の桜の下で、何かを聴きとろうと耳を澄ますも、じっと桜の下に座っていることができずに、また来年にしようとずるずると何年も経っているらしいイヒ

上差し

これが、どういうことを意味しているのか、とても分かりづらかったのだけど、たぶん…これからの自分の生き方を決めかねて迷っている=そろそろ大人になってちゃんとした社会人にならなければいけないと思ってはいるものの、なんとなく踏ん切りがつかずに、フリーターを続けている的な感じはてなマーク

 

では、なぜ、桜の樹の下でそれを考えようとするのか…

これも、なかなかピンとくる解釈にたどりつかないんだけど、とりあえず頭の中にあることを書くと…

1)単に、野田さんが「桜の森の…」と「夜長姫と…」の2作品を融合させるにあたり、耳男を満開の桜の下に座らせてみたかったから

2)満開の桜の下は、美しすぎるがゆえに何やら恐ろしい場所であり、そこに行けば、何かが変わるかもしれないという漠然とした耳男の好奇心から

今のところ、こんな感じしか思いついていないしょんぼり

 

で、余談になるけど、桜の樹についても調べてみたら…

 

桜 安吾さんの中の満開の桜の下の原風景は、「桜の森の…」を執筆する2年前に見た上野の山の風景で、「東京大空襲の死者たちをそこに集めて焼いたとき、折りしも桜が満開で、人けのない森を風だけが吹き抜け、逃げだしたくなるような静寂がはりつめていた」と後のエッセイに書かれているらしい

耳男の台詞にも「そこではゴーゴー風が鳴っているんだ。それでいて一つも物音がなくてね…(中略)…ぽそぽそ降る花びらと共に命が衰えていくような気がする」とある

 

桜 梶井基次郎さん著の『桜の樹の下には』という小説に、”桜の樹の下には屍が埋まっている…”という一説があり、都市伝説になっているらしい

 

桜 桜の葉の中には、クマリンという毒成分があり、葉が落ちるとそれが地中に浸み込むため、桜の樹の下にはあまり雑草が生えないらしいショック!で、塩漬けにされた桜の葉のあの香りの正体は、このクマリンだそうガーン微量なので、食べても問題ないらしい桜餅お茶

   

…と、桜の樹のイメージがちょっともの悲しくなった私ですぐすん

 

はてさて、耳男はとある年、同じように桜の森に向かう途中、背後から森の鬼たちに声をかけられ、そこからこのお話しが始まる耳

無数の鬼々の最後に耳男に声をかける美しき鬼…は、おそらく夜長姫なのだと思うのだけど、実は、こちらの解釈についても、少し迷ったうーん

 

1つ目の解釈は…シンプルに夜長姫は人間の世界と鬼の世界を行き来でき、人と鬼、両の顔を持つ異界の存在であるという考えひらめき電球

冒頭の森で、「私も一緒に連れてっておくれよ」と声をかけたのは、おかしな耳耳を持つ男に興味を持った、鬼の一面を現した夜長姫おとめ座

でも、耳男に「独りじゃなくちゃだめなんだ」と拒否され、これまで何でも思い通りにしてきた夜長姫は、どうしても耳男を自分の元に置きたいと、妖の力で耳男が師匠を殺すように仕向け、師匠の身代わりとして自分のいる飛騨王家へと導く

以降、ひたすら耳男に執着し、ついには手に手をとって一緒に逃げる旅に出る…が、しかし、耳男が夜長姫の狂気に決定的な恐れを抱き、その手を離そうとした時、夜長姫の中の鬼の1面が姿を現し、耳男は己の命の危険を感じて、夜長姫を手にかけてしまう

死ぬ間際の夜長姫からは鬼の面影は消え、美しさだけを残してはかなく逝ってしまった姿に、耳男は大事なものを失ってしまった喪失感に呆然とする…

 

2つ目の解釈だと、この美しき鬼は夜長姫ではないひらめき電球

このシーンで、美しき鬼は耳男に「私も一緒に連れてっておくれよ」と言って背中にとりすがる

耳男は、「独りじゃなくちゃだめなんだ」と振り払うが、その後、師匠と再会した時に、師匠が「さっきから何を自分の背中と話してるんだ?」と耳男に言う…このことから、美しき鬼は耳男の背中に取り憑いたのではないかとしょんぼりで、その鬼に導かれるように、耳男は師匠を殺し、師匠になりすまし、飛騨王家のもとにたどり着き、そこで、時に残酷で時に無邪気な幼子のような心を持った怪しくも美しい夜長姫と出会うラブそして、耳男に取り憑いていた鬼が、夜長姫に乗り移り、以降、度々夜長姫の身体を借りて鬼の声が聞こえたり、人々を翻弄したりする

ラスト近く、耳男が、残虐な夜長姫をこのままにしておいては人間世界が危ないと考え、夜長姫から離れようとする時、取り憑いた鬼が姿を現し、耳男は冒頭で声をかけてきたのは鬼だったんだと気づき、それを殺めてしまう…が、鬼の面が剥がれ落ちたその姿は、夜長姫であり、自分のしてしまったことに呆然とする…

 

 

 

どちらとも取れるから、これはこのままどちらとも言えないってことにしておこうと思った矢先、実は野田地図版の本編の放送後についていた野田さんのインタビュー映像の中に、答えと思しきワードがあったビックリマーク

「夜長姫は鬼女なので…」とガーン

つまりは、シンプルな1つ目の解釈が正解ってことほっこり

 

取り憑いた説は、私の考え過ぎってことで、あえなく撃沈あせる

ま、あれこれ想像してる間、楽しかったからいいのだウシシ


それにしても、毬谷友子さんの夜長姫ドキドキ声も見目も美し可愛いラブずっと見ていたくなるドキドキ鬼になった時はこれでもかっていう位、妖気漂ってるし、素晴らしい拍手拍手拍手



《ビデオパッケージ裏面の画像より》


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