






《公式さんより》
このあらすじには、テルの奥さんは病死…とあるけど、実際には自殺…闘病中の奥さんに苦しみから解き放って欲しいと頼まれつつ、正面から向き合えなかった自分を悔いて責めるテル…
そんなテルだからこそ、植物状態の自分の気持ちをわかってくれるはず…と現れた、深い眠りに落ちている時だけ肉体から解き放たれ自由になれるエミの意識
エミは盲目なんだけど、意識として存在してる時は目が見えるようになってて、初めて見る世界の美しさに大喜び
このエミちゃん、幼い頃に母親に捨てられ、施設で育ち、学校でのイジメ、男性からのセクハラ、大人になり、勇気を持って訪ねて行った母から拒絶され、自暴自棄になってフラフラと歩いているうちに交通事故に合い、植物状態に
なかなか壮絶な人生…なんだけど、皆本麻帆さん演じる意識としてのエミは、とってもキュートで明るくて溌剌としてて、そこに救われる
藤岡正明さん演じるテルさんは、もう当て書きなのって思うくらい、お役ピッタリで、奥さんの死で憔悴し背中を丸めてる姿から、酔っぱらってくだを巻くだるんだるんの姿から、意識としてのエミに元気づけられてちょっとおもしろ可愛い姿から、自由自在の演技
ちゃんとお芝居されてるの観るの初めててで、勝手に歌の方だと思っていたから、なんかちょっとびっくりした
で、エミとテル、エミの行きたかった場所へ一緒に行ったり、お互いを語り合ううちに心が通い合い、最終的な着地点は、尊厳死について…
植物状態から脱する期待値は低く、もうすぐ意識すらなくなってしまうかもしれないエミは、自分の意志で自分の人生に終止符を打ちたいとテルに懇願する
自分にしか見えない意識としてのエミがそう願っていると、エミの親友のトモとマドカに強く訴えるテル…見えない意識としてのエミの存在を信じ、それを受け入れ、テルにエミを託し、トモとマドカが病室を後にするシーンは涙腺崩壊
ラスト、全ての束縛から解放されたエミの笑顔が悲しくも美しかったなぁ…
絵描きさんだったテルの奥さんが、最後の個展で桜の花のモチーフに拘ったのは、ぱっと咲いて潔く散るっていう桜の花の姿に自分を重ね合わせていたのかな
奥さんにしてあげられなかったことをエミにしてあげられて、恐らくテルさんは後悔はないだろうと思う…
でも…ここから先は舞台では描かれていないけど…
エミとテルは、傍から見たら被害者と保険調査員という関係に過ぎないし、エミの意識の話なんて、妄想だって思われるに違いない
だから、この先、テルを待っているのは、自殺ほう助でもなく、嘱託殺人でもなく…単なる殺人という現実なんかやりきれないね
書ききれないけど、エミと親友2人の絆や、エミを手放さなければならなかった母サオリの苦悩や、LGBTQやら、大物政治家による事故に関わる事実の捻じ曲げやら、他にもいろんな要素がたーっくさん詰まってる作品何回か観たら、また見えてくるものが変わってくるかな…
前々投稿へのコメントで、舞台上のセンターラインにも注目してみてください!と教えて頂いたので、頑張って観てみましたが、はっきりとそういうことかーとはならなくて…
でも、たぶん、生と死の境界線とか、過去と現在の境界線だったり、苦しみと喜びの境界線だったり、いろんなものの真ん中に線があり、どちら側に自分を置くかで、人生が変わってくる的な意味なのかしらと…
全然違ってたらどうしよっ…
あ、この記事だけ読むと、めっちゃ重暗いお話しのように映ると思うけど、前半から中盤は意識としてのエミちゃんが明るくて元気だし、キャッチーな楽曲や楽しい場面もたくさんあるので、そんなにずーんとはならずに観られました
まぁ、その分、観終わった後に、考えさせられましたけども…
公開ゲネプロの動画貼ります