タイトル、どういう意味なんだろって思ってたら、これまた、下敷きとなる南北朝時代由来のお名前でした
以下、内容に触れています
日本史で習った南北朝時代に、ギリシャ悲劇『オイディプス王』を掛け合わせ、さらには兄ラギを心から恋慕うミサギは、チェーザレとルクレツィアのようでもあり、南朝の描かれ方は新興宗教の様相を呈しており…といろんな要素が絡み合った、不思議な作品だったなぁ
南朝
ゴダイ大師=後醍醐天皇
モンレイ(ゴダイの后)=建礼門院
シンデン(重臣)=新田義貞
ダイナン(武将)=楠木正成(大楠公)
北朝
ギセン王=足利義詮
トウコ(王の母)=赤橋登子
ギチョク(王の叔父)=足利直義
モロナオ(執権)=高師直
モロヤス(モロナオの弟)=高師恭
キョウゴク(武将)=京極高氏
シレン
殺人を生業とする集団”狼蘭族”(『蛮幽鬼』にもこの一族のサジが主要人物として登場)の女殺し屋であり、キョウゴクに雇われ、南朝に忍び入り、ゴダイの寵姫となり、数年かけてゴダイを毒殺
その間に、ゴダイとの子を産んだが、モンレイの怒りに触れ、その子を取り上げられた過去を持つ =阿野廉子(醍醐天皇の寵姫)
ラギ
シレンの子
生後、母シレンから取り上げられた後、ゴダイの命により、秘かにシンデンの手で北朝に逃がされ、キョウゴクに預けられる
そのままキョウゴクの元で、事実を知らぬまま育つ =義良(後村上天皇)
毒殺したはずのゴダイが、生き返ったとわかり、再び命を狙いに南朝に行くことになったシレン
そのシレンに着いていくラギ
そして2人は、親子であることを知らずに愛し合うようになり、いろんなゴタゴタがあって(雑だな…😅)、ラギはゴダイ(実の父)を殺してしまう
ここまで(一幕)が、思いっきり『オイディプス王』の流れ
で、二幕はオリジナルな展開なんだけど…
まぁ、かなり血なまぐさかったかも…
新感線さん、斬る、討つ、謀る、裏切る、っていうのは、どの作品にも登場するマストアイテムではあるんだけど、それぞれに大義のためとか誰かのためとか理由があったように思うんだけど、本作、特に二幕は、”殺す”こと自体がメインテーマのようだった
”殺し合い”はすなわち”殺し愛”だと…
んなわけあるかいって、すかさず画面に向かって、突っ込ませて頂きましたけど…
そんな殺伐とした展開の中、癒しだったのが、橋本じゅんさん演じるダイナンの、かつての盟友キョウゴク(古田さんね)に向ける乙女な愛
もう、おじさん2人なのに、なんか可愛くて
ダイナン、頑張ってーなんて応援してる自分がいたー橋本じゅんさん、グッジョブ
あとは、三宅弘城さんのギセン王、めっちゃ良かったー虫が好きなちょっと愚鈍な王なんだけど、闘ったらめっちゃ強くて、なんか侮れない無欲の怖さみたいなのを絶妙に表現されてて、すごかったわー
北村有起哉さん、元々好きな役者さんなんだけど、今回、登場する男性陣の中、数少ない良い人シンデンを真っ直ぐに演じてらして良かった途中から実はワルでしたーってなったらどうしよう…って思いながら見てたけど、大丈夫だったわ疑心暗鬼になるよねー新感線さんの舞台だと
で、圧倒的なカリスマ性を持つ南朝のゴダイ大師を演じた高橋克実さん
もう、有無を言わさない存在感と得体の知れない不気味さと善悪問わない器の大きさを、ど迫力で魅せて下さって、もう、感服です
ストーリー的には、エグ過ぎて、あんまり好みではないけど、いろんな題材を上手く混ぜ合わせて、新しい作品にするっていう魔法のような脚本力には、毎度毎度、感心しきりです