ドーパミンとセロトニンについては1000年の昔から語られていることを思い出しました。

是非、源氏物語の宇治十帖を読んでいただきたいです。

登場人物の主要メンバーは源氏の息子、孫に移ります。

源氏物語本編は光源氏がスーパースターで、その女君たちもそれぞれに際立っていたスター級であったことと比べると、宇治十帖はみんなやや小ぶりな感じがしますが、だからこそのリアリティがあります。

高校1年の夏休み前、図書室で源氏物語の現代語訳を借りて読みたいと思ったら、主要な巻は既になく、ちゃんと読みたかったら宇治十帖しか選択肢はありませんでした。とりあえず借りてみただけだったのですがハマりましたよ。

表向き光源氏の息子の薫。
晩年に生まれたので光源氏の孫の匂宮と同じような年頃です。家系図的には叔父、甥ですが笑笑
この人は今で言うともしかしたらワキガ?えも言われぬ芳しい体臭の持ち主で、しかもスーパースターの源氏の子だから周りが放っておかない。でも本人は出自の秘密になんとなく気がついていて、どこか遠慮がちと言うのか、自分の人生を素直に生きれないところがあって、光源氏がやりたい放題だったのとは正反対で、超堅物。出家することは叶わなくてもと、どこか世の中からは一歩身を引き、仏教にかなり傾倒していたりするのです。

源氏の血を引く孫の匂宮のキャラはわかりやすく華やかで源氏タイプの愛すべきエロかっこいい男子です。

平安のドーパミン系イケメンの薫と、セロトニン系イケメンの匂宮。

この2人の間で、愛に苦しむ浮舟という女性を中心とした物語です。

浮舟は、身分の低い母から生まれますが、本編での桐壺の更衣的な存在として描かれる宇治の大君という薫の初恋の女性の腹違いの妹で、別々に暮らしています。大君が亡くなって登場するのですが、大君に生写しなのです。
大君と浮舟の父は帝の御子で、一度は皇太子候補にもなったこともある身分の高い人ですが、わけあって落ちぶれて仏門三昧な生活を送り、大君の他に中君という娘2人と暮らしていましたが、その生活ぶりは全盛期を知る人が見たらいたわしいにも程があるという感じなのではないかと思われます。

宇治十帖は時代を超えて共感できる、非常に深い作品だと思います。作者は紫式部ではないという人がいるほど、趣が違うと言われていますが、私は現代語訳で読んだのでその辺はわかりません。でも、出家した紫式部が書いたものだとしたら、宮中で書いていたものと作風が変わっても不思議はない気もします。個人的にはそこはどちらでもいい気がします。

物語後半、浮舟は出家します。源氏物語本編では、出家した女君は精神的な自由や自立を手にします。物語中、幼いとか大人気ないとか情緒に乏しいとか、美しさ以外取り柄がないように扱われた女君でさえ、穏やかな日常を送るのですが、浮舟の周りは落ち着きません。

薫に2度と顔を合わせられないという想いから出家したのに、薫に所在を知られ、そこから薫のような身分の高い男の想い人を出家させてしまったのはまずかったと思ったのか、浮舟に戒を授けた横川の僧都にまで、還俗を勧められたりします。この辺とても下世話です。
仏にすがり救われることを求めていた浮舟は横川の僧都の言葉に何を信じれば良いのかわからなくなります。
薫は薫で本当にドーパミン男の嫌さ加減丸出しで、浮舟の弟を使って寄りを戻そうと接触してきたりともう本当に本当にうざいのです。


薫には決して会わないと心に決めている浮舟は薫の接触を頑なに拒み続けます。同性として立派だと思います。それには理由があって、誠実な薫の信頼を裏切り、望んでそうなったわけではなかったけれど、匂宮と関係を持ち、結果激しく匂宮に惹かれてしまった自分が許せないというものなのですが、ドーパミン男には、女のそんな痛みは分からず、あの頼りない浮舟がこんなに気強く自分を避けるのは他に男がいるからではないかと思ったりするのです。仏の道を目指してるようなこと言ってたはずの薫が超小者な嫌な男であることが露呈します。

そんな煩わしさの中で救いを求め経を読み、経を写し日々その道を進む女と、それまで身分から何から何まで上に立っていた男との立場が鮮やかに逆転するこの場面で物語が終わります。

浮舟が匂宮に惹かれている自分を浅はかで許されないと思っていることなども、今を生きる私たちと同じ生きにくさの中にいることを感じさせられます。

素直にこの宇治十帖を読んだら、セロトニンの幸せの大切さがわかると思います。

ドーパミンとセロトニン。
言葉で見ると西洋的な分類、視点なのかと思いきや、1000年もの昔から、日本に存在していたことに驚きます。

記憶に残っている部分だけで書いてしまったので、ちょっと違ってるところがあるかもしれませんが、その点はお許しを。

中学まで小説は海外文学の翻訳物を読むことが多かったのですが、高1の夏休み、軽い気持ちで借りた宇治十帖でしたが、日本文学恐るべしと思いました。これで古典が好きになったんです。
そんなことも思い出しました。