近親者 | 象の夢を見たことはない

近親者

去る3月28日、坂本龍一さんが亡くなった。

 

 
葬儀が近親者のみで行われたそうだ。
それがいい。アウトデラックスで成田悠輔氏が出ていた。マツコが「自分のプレゼンスを上げるために、無能な大人にいいように使われている」と彼に対して言い放ったが、坂本氏はそんなふうではなく、ごっつええ感じに好きなように出ていた。
 
自分の親が死んだら誰に葬儀に出て欲しいか、本人に聞いておいたほうがいいかもしれない。そんな時代。コロナがそぎ落としたからと言える。忖度をそぎ落す。それでも残るものにしか意味などない。
 
小林秀雄の言葉に「その人の性格にあった事件にしか出会わない」というようなものがある。「人は様々な可能性を抱いてこの世に生まれて来る。彼は科学者にもなれたらう。軍人にもなれたらう。小説家にもなれたらう。然し彼は彼以外のものになれなかつた。これは驚く可き事実である。この事実を換言すれば、人は様々な真実を発見する事は出来るが、発見した事実をすべて所有することは出来ない。」なんてだれかがそれに返答してたけど。事実なんかどうでもいいのだ。
 
事実などどうでもよくて、自分が所有している事件なのだよね。事件が自分を作ってくれたのだ。事件ってなんだろう。果たしてそれって少ないのか。でも思い出すと、結構あるのだな。向田邦子さんのエッセイ的な。でも、自分にとっては事件でも、相手にとってはそうではないかもしれない。人の想いというのは、なかなかうまくゆかないものですね。