ホテルみち潮 | 象の夢を見たことはない

ホテルみち潮

小学生のとき、そういう名前のホテルに泊まった。
高度成長期の時代。

過渡期というのは「ある状態から新しい状態へ移り変わっていく途中の時期」だそうだ。果たして今の時代は新しい状態へ変わっているのだろうか。

『ドライブイン蒲生』を観た。
ドライブイン。これもあの時代の匂いがする。

観るまえから何故か青山真治の『Helpless』を思い出した。
見始めてさらに。これはあの映画に対するアンサー映画だと。
監督はたむら まさき。知らずに見始めたのである。
田村正毅。『Helpless』の撮影は彼だった。

高度成長期の残渣。炭鉱の街、北九州。それが『Helpless』の本体。
夢が終わった場所に囚われ続けている。
バブルの終焉を迎えたときとそれは被っていた。

ドライブインはどこかへ行く途中だから、
どっかに行く途中で美味しいもので引き止めちゃいけないんだよ。
だからドライブインのメシはマズいんだ。



果たしてもはや夢という言葉にかつての力はあるのだろうか。
途中の先を見てしまった現在で、向かう先に何を期待するのだろう。

カタチは運動の結果ではなく、
運動が継続されているからそれがカタチをなしている。
死んだら骨になるだけ。

結果に未来はなく、今生きているそのことが退屈をふくめて人生であって
劇的な展開などなく、それを無理に作り出す必要なんてない。
過渡期というパラダイムは死んだのだ。

『途中』であり、『途中』こそがすべてである。

『ドライブイン蒲生』
2014/06/17 に公開
「指輪をはめたい」などで知られる芥川賞作家・伊藤たかみの小説を基に、寂れたドライ­ブインを営むどうしようもない父親のもとで育った姉弟の葛藤を描く人間ドラマ。相米慎­二、石井聰亙監督作品など日本のインディペンデント映画に携ってきたカメラマンたむら­まさきが、75歳にして初メガホンを取る。姉と父の間で苦悩する弟に染谷将太、元ヤン­キーで出戻りの姉に『横道世之介』などの黒川芽以、彼らの父親を永瀬正敏が演じる。