知と信 | 象の夢を見たことはない

知と信

アル・ガザーリー(1058-1111)は、「知」と「信」の領域を分けて考えた。

「知」は悟性の領域であるのに対し、「信」は信仰の領域である。知は厳密な証明によって何人にとっても同様に現れるものではならない。
ガザーリに在っては、知の領域は、5+2=7、「同一の物体は同時に二つの場所を占めることはできない」というような数学的な、論理学的な異議のない命題しか含まない。
そうでないもの、人々の間に異論のあるようなものは全く「知」の世界から排除されて悉く「信」の世界に入れられてしまう。だから、思弁的神学や形而上学は悟性的であるようで、実は信の世界に属するのである。
「もし形而上学が数学や論理学の如く、完全な論理的証明にもとづくものであるならば、形而上学者の間に意見の衝突は起こらなかったであろう」。幾多の仮説、異論、憶測を含む神学や形而上学は知の世界に入ることはできない。これらは信の世界に入らねばならぬ。
信の世界は雑然たる世界である。この信の世界の特質がどこから来るのか。それは信仰が個人の心の問題であるからである。個人はその体験の深浅により、また実践の大小により、それぞれ自分の信仰を獲得するのである。


ガザーリは言う。この二つは本質的に違ったものである。両者を混同することは許されない。知の世界は飽くまで知の世界であり、信の世界はどこまでも信の世界である。ところが世の思弁学者や哲学者は明らかに二つを混同している。そこに彼らの救い難い欠陥が存するのである。


長い引用を避けるためにはしょってしまった。

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