日本国誕生第8話   天照の孫が下界に


天降り(あまくだり)

出雲の国を治めていたオオクニヌシノミコトが天照オオミカミ一族にに屈服して、お隠れになったことを受けて、天照は自分の幼い孫のニニギノミコトを高天原(たかまがはら)から下界に使わすことにしました。そして、何人かの神々を幼いニニギを助けるために同行させ、やたの鏡・やさかの勾玉(まがたま)・草薙の剣(くさなぎのつるぎ)の3種の神器をお預けになったのです。やたの鏡とやさかの勾玉はアマテラスが天の岩戸にお隠れになった時に、表に引き出すために使われたお品で、草薙の剣はスサノオノミコトが八岐大蛇を退治した時に尾っぽから取り出して、あねのアマテラスに献上したお品でした。そしてこの3つのお品は、これ以後、政治をつかさどる者が持つ神器となったのです。鏡 

剣02 風水

一行が雲を掻き分け地上に降り立つた場所は、日向(ひゅううが)の高千穂の峰でした。そこに一行はりっぱな宮殿を立て、ニニギノミコトはここで成長したのでした。ある日、ニニギのミコトがカササの岬に出かけていくと、そこで美しい姫に出会ったのです。姫の名はコノハナサクヤヒメ。ニニギはその娘に妻にしたいと申し込みました。コノハナサクヤ姫が父親のオオヤマツミの神に相談すると、父親は天の御子(みこ)の申し出に喜んで、あねのイワナガヒメを一緒に奉(たてまつ)りました。ところが、イワナガヒメがひどく器量が悪かったために、ニニギはコノハナサクヤヒメを残してアネを返してしまわれたのです。父親はひどく気分を害して「2人の娘を奉ったのは、アマツカミの御子(みこ)を岩のようにゆるぎなく、木の花の咲き匂うぎとく栄えますようにのウケイの誓いをこめたものでしたが、アネのイワナガヒメだけを返されたからには、アマツカミといえども命は木の葉の散るがごとくもろいものになるやもしれません」と予言されたのです。

火事   赤ちゃん はいはい 赤ちゃん 2

その上、コノハナサクヤヒメが子供を身ごもったと告げると、ニニギノミコトは「本当に私の子なのか」と疑ったのでした。サクヤヒメは身の潔白を証明するために、「神の子なら無事に生まれるはずです」と誓って、その証(あかし)に産屋(うぶや)の出口をふさいで、小屋に火をはなって、燃え盛る火の中で出産しました。そして無事にうまれたのが、ホデリノミコト、のちの海幸彦と、ホオリノミコト、のちの山幸彦でした。



伊勢神宮 


先日、伊勢神宮に詣でた時、外宮を案内してくれた人が、ニニギノミコトとそのお供をして高天原から下界に天降った神々も祀られている話をしていました。伊勢神宮と古事記や日本書紀で日本誕生に出てくる神々の名前が頻繁に登場します。