『本当の「心の強さ」ってなんだろう?』著:斎藤孝

 

本書は、メディアでも活躍されている大学教授の斎藤孝先生が、子供向けにへこたれないメンタルを持つための考え方や方法について書かれたものです。

 

私自身メンタルが荒んでいる時に読み、参考になるところの多い本でした。博識かつ様々なご経験を積んできた著者の、含蓄に富んだ考え方や物の見方の数々に、多くの発見がありました。

 

特に印象に残ったのが、柳のようなしなやかで折れないメンタルを持つ、という部分です。

 

江戸時代の禅宗のお坊さんで、仙厓和尚という人がいました。

その方が水墨画で風の吹かれる柳の木を書き、「堪忍」の文字と共に書いた句が

 

「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」

 

という句でした。これは、気に入らない風が吹くこともあるけれど、柳はいつも自然に受け流しているよなぁ、という意味です。

 

このような、柳のように柔軟なメンタルの持ち方が、折れないメンタルに繋がるのかなぁと思いました。

 

私は、少し上手くいかないことがあると完全にそれを辞めてしまったり、はたまた、これだけしかしない!と一つのものだけを常にやり続けようとしては続かず、ということをよくしてきました。

 

メンタルに関しても同様で、「弱い」と「強い」の二つしか考えておらず、弱いメンタルを改善するために、強いメンタルにならなければならないと考えていました。

 

そして、全くぶれない、鋼のような100%の強さを理想にしては、余裕がなくなり、消耗し、上手くいかないという繰り返しでした。

 

ですが、柳のようなメンタルを持つというのは、今までの自分のやり方とは異なる良いメンタルの持ち方だと思います。

 

柳のようなメンタルであれば、強さを持ちながらも、穏やかさや余裕も持ちつつ生きられるのではないでしょうか。

 

自分も柳のようなメンタルの醸成に向けて、一歩一歩チャレンジしていきたいと思います。

 

 

また、他に印象的だった箇所が、「自分のためにやっていることは、意外ともろい」という考え方です。

 

世の中の役に立ちたいとか、貢献したいという志が粘り強く努力するモチベーションになると著者は言います。叶えたい夢や目標は自分に閉じたものにしない、社会とつなげて考える方が良い、という考え方は非常に心に残りました。

 

私は今まで、自分が何をしたいか?ばかり考えて生きてきました。ですが、私にはやりたいと思えることが特にありませんでした。そして、受験競争を経て、そのような競争や、マウントを取り合いも嫌になっていました。(切磋琢磨するのは良いと思います)

 

しかし、自分がやりたいことではなく、どうしたら自分が世の中の役に立てるか、という視点は、心が穏やかになるような、良いモチベーションになると感じました。

 

 

柳のように、柔らかく、穏やかで、柔軟なメンタルを持ち、何か人のためになるようなことをしていくこと。

 

そのためにまずは、人と接するときに、心が落ち着かない毎日ではありますが、そんな中でも、笑顔で気持ちよく接せられるように日々実践していきます。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。ではまた、ごきげんよう。