魂の永遠の自由は愛の中に。
偉大なものは小さなものの中に。
無限は形態の絆の中に見出される。

                           ー  ラビンドラナート・タゴール  ー







地獄を這いずり回り

全身泥まみれのあたしの前に、女神が現れた。




「愛美さん、護さんから聞きましたよ。まず最初に結論を言います。あなたと彼は、ツインレイです」

「ツイン……レイ?」




意味がわからなかった。

でもなんかどこかで聞いた事があるような単語だった。

そうだ、アメブロだ。

アメブロでジャンルランキングというものがある。

あたしのブログのテーマは「恋愛」だ。

そのランキング上位の方々のタイトルに

よく「ツインレイ」という言葉があった。



「魂の片割れです。このような生業をしてるから特に霊視等しなくても、普通に愛美さんと彼がツインレイだと、すぐにわかります」

「魂の片割れ……あ、ソウルメイトって事ですか?ソウルメイトなら知ってます!」

「ソウルメイトとは少し違います。彼と愛美さんは同じ魂だと言うことです。
ソウルメイトは、風愛友さんです」

「え?混乱してきました……」

「簡単に言いますね。ソウルメイトは魂の友達です。何度生まれ変わっても、色々な相手として出会い、仲良くなったり、お互いを助け合ったり。因縁がある場合は、お互い嫌な思いをさせたり、裏切ったりします」

「えぇ……ソウルメイトって裏切るんですか!」

「お互いにカルマを解消しきれてないならば、そういう事もあります。しかし、ツインレイは同じ魂です。彼と愛美さんは、同じ魂なのです。そしてツインレイが今世で出会うと、強烈に惹かれ合います。
しかし、ほぼ必ずサイレント期間があります。
その時は、男性側が突如、ツインレイ女性の目の前から姿を消すことが多いです」

「え……!?」




まさに、それだった。

突然、彼は消えたのだ。

詳しい理由も言わずに……。




「京都に、ツインレイの物凄い力を持った霊能力者がいるので、是非とも鑑定してもらって下さい。
神の遣いとして、ツインレイの手助けをするお役目を持った方です。
私たちが鑑定してもいいのですが、私たちには彼ほど力がないもので、その霊能力者の方に視てもらうのがベストだと思います」



そして、その方の連絡先が送られてきた。

とりあえず、その人にコンタクトを取った。

ただ、全国から鑑定依頼が殺到しているのと、神とチャネリングするのに、体力、精神力、集中力、時間がかなり消耗する事らしい。

少し鑑定は遅れますと返事が来た。



ツインレイか。

調べてみよう。




そして、調べたら当てはまることがたくさんあった。 

出会った時の感覚や

会話中に宇宙人と話してるんじゃないかと思うほどの噛み合わなさ、

そして、強烈に惹かれてしまう引力。

更には、セックスだ。

ツインレイ同士のセックスは、

まず抜群に相性がいいらしい。

それは同じ魂だから、

あたしは元々、好きな人には性欲強いとは思っていた。

だから、今まで

あまり不思議には思わなかったのだけれど……。

ツインレイは、セックスというもので、エネルギー交流をするらしい。

それは普通の他の人では味わえないほどの、

神聖で、幸せな行為。

そしてツインレイ男性は、そこまで性欲強くなくても

ツインレイ女性を目の前にすると、どうしようもなく性欲が高まるとのこと。



彼の言葉を思い出す。



「ごめん、俺愛美を大事にしたいんだけど、我慢出来そうにない」

「おかしいな……俺こんなに性欲強くないんだけどな……」

「愛美を目の前にするとダメだ」

「女を感じるのは、愛美だけ」

「愛美が一番気持ちいい」

「傍に居てくれるだけでもいい」

「愛美は俺の癒しの存在」



彼が戸惑うほど、

あたしと彼は会う度に愛し合っていた。

しかもそれでも、「飽きる」という現象が起きない。

それは、ツインレイならではの現象らしい。

セックスはエネルギー交流だから、するたびにお互いの生命力や活力が活発になる。

癒し、癒され、元気になる。

だから無性に、相手と繋がりたくなるらしい。




……ただ、ツインレイとは

「運命の人」という生易しいものでは無いことにも気がついた。

「運命の人」というよりも

「試練の人」と言った方がいいかもしれないぐらいだ。

愛を学ぶために、とんでもない苦難を乗り越えて行かなくてはならないのだと。

同じ魂だから

お互いに試練を与え合う。

自分が落ち込んだり苦しい時に

ソウルメイトなら、助けてくれる。

でもツインレイは、助けてくれない。

だって、同じ存在だから。

助けたら、学びにならないから。

更に、魂が繋がっているから

片方が落ち込むと、もう片方も引きずられて落ち込む。

助け合いどころではない。

しかし、最終的に覚醒し、しっかりと魂が統合すると

無償の愛に目覚めると。



しかし、無償の愛というものは

人間として、最難関なのだ。

例えばの話、彼が他の女の人と結婚をしたとしても

それを「良かったね!あなたが幸せなら私も幸せ!」と、喜ばなくてはならない。

誰よりも嫉妬深いこのあたしが?

彼が、他の女の人と結ばれて心から祝福しろと?

そんなの到底無理である。



そして、数日待ってから

京都の霊能力者から、連絡が来た……。