数年前になるだろうか、まだMTCを組む前の話だ。
地下でいかさまをしていたらしき、雀荘にガサ入れしたときのこと。
薬に銃に、偽札、火薬の一種に混ざって見つかったのは、竹でできた鳥かごにはいった、一羽の鶯だった。
鳥なんかに構ってはいられない、まとめてしょっぴいて、押収したブツを車に運んでさあ戻るかと雀荘をあとにしようとしたら、
「待たれよ」
と、鶯が言う。
確かに、人の声でそう言った。鳴いたというより、言ったという感じが似合っていた。
俺がじっと見ていると再び「待たれよ」と言い、鳥かごの底でしきりに、飛び跳ねている。
ええいままよ、と鳥かごを開けて、どこにでも行けと鶯を窓から逃がしてやったあと、底のほうを調べてみた。
純度の高い、薬物が一袋だけ見つかった。
近所の空き家に、仲間がひとりだけ隠れていて、騒ぎがおさまるのをまってから、ブツを売ろうとしていたようだ。
あの「待たれよ」という声のおかげだと、今でもよく思い出す。
俺の話は、これで以上だ。