その鶯は、小官かもしれない。というのは冗談だ。
ある夜のことだ、空を見上げると、やけに月が薄いような気がした。
まるで、一枚の画用紙かなにかを切り取って浮かべたように、ぺらぺらとしていた。
どういう事だ、と見ているとそのうちに……月は、三日月だったんだ……、弓形のままくるくると、ちょうどハンドスピナーみたいに、上空で回転をしはじめた。
言葉もリアクションもできず、小官はただ見上げることしかできなかった。
しかも、バランスをくずして尻餅をついてしまった。
「ききき、けけけ」
茂みの奥で、妙な笑い声がした。
もそもそと、大きな茶色い尻尾が、まるで自分を小馬鹿にするかごとく左右に揺れて、すうっと霞のように消えた。
あれが、狐狸というものかと納得し、空を見た。
月などなく、あるのはヨコハマの夜景と、かすかな星の光だけだった。
小官の話は終わりだ。
発表するにあたって、Posseの「ステラ」を拝借させていただいた。あれは良い曲だ。