洗面所に、記憶にない長い髪が、ばらばらと散らばっている。泊まりにきた仲間に女性はおらず、短髪にした男しかいない。

 素手で触れたくはなかったので、キッチンペーパーでくるむようにして広い集め、ゴミ箱に捨てた。

 

 翌朝、同じものがまた洗面所に散らばっていた。自分が寝ている間にだれかが、忍び込んできているんだろうか。そんな疑いさえ覚え、人が隠れそうな場所をかたっぱしから探すことにした。

 

 クローゼットにバスルーム、都市伝説であるようなベッドの下など、思い当たるところはすべて探したが、そんな気配はどこにもない。

 

 警察官である俺の部屋に、もし潜入しているとしたらいい度胸だなとひとりごち、仕事の時間になったので、靴を履こうと下駄箱をあけた。

 

「いひひひひひひひ」

 

 長い髪を垂らした、女の生首が、下卑た嗤い声をあげていた。

 見覚え?あるはずないだろう。

 

 俺の話はこれで終わりだ。