その、マダムタッソー、小生は人形が怖かったんじゃなくて、周りの「空気」が、苦手だったというか・・・・・・。
生身の人間に似ているほど、ああいう存在はいろいろな念とか、気持ちとかを引き寄せるみたいですね。
たとえば、どこから来たかもわからぬ、青白い顔をした赤子が女優を模した蝋人形にびっしりとまとわりついていたり、つんざくような声で歌う女が、男前な俳優を模した人形に絡みついていたり、見たくないけれども、あちらが強すぎてつい、目に入ってしまうんです。
お願いですから、なにもできないので、どうか呼びかけないでください。
そう念じても、相手は聞く耳持たずで、足下にすべりこみ、耳元で面識ある人間の声をまねして、話しかけたりしてきます。
乱数を待っていたときも、さまざまなモノが通り過ぎて行きましたよ。
中には、原型をとどめておらず、どうやらその土地に昔からいたらしく、古い魂みたいなものも。
一番参った相手は、自ら命を絶ち、未だに未練があるモノですね。
貸して、貸してと人形や、小生に訴えるんです。
なにを貸してほしいのやら。
小生の話は、以上でございます。
嘘かまことかは、どうぞご自身で判じてください。