ちょっと短いお話しになるんだけど、いいかなあ?
 
 ポッセのみんなで、香港へ旅行したときの話。えーと、2年ぐらい前?九龍にあるホテルへ泊まって、いろんなとこ観光したり、飲茶食べたり、それなりに楽しかったんだ。
 
 で、僕がちょっとおかしな目に遭遇した場所も、香港。
 ビクトリアピークにある、マダムタッソーっていう、蝋人形の館。

 そこにはカンフーのアクションスターとか、ハリウッドで活躍した役者さんをモデルにした蝋人形がたくさんあるんだ。幻太郎は「目があると怖いでありんす」ってずっと下向いてたんだけどね。
 
 僕は、どうやってできているか興味があって、細かくてすごいなあって、感心してた。ちなみにそのとき、帝統は途中でD子から麻雀に誘われて、いなくなってた。
 
 幻太郎が、疲れたからってベンチに座ったから、見終えたら戻ることにしたんだよね。実は、僕もそこでマダムタッソーから出ればよかったなんて思ったよ。
 
 いや、実はね。

 いたんだよ。僕とそっくりの、蝋人形が。

 そいつはにぃ、と歯を見せて笑うと手招きをした。

 蝋人形に可動式なんて聞いたことないし、え、なに?って後ずさりしたときだった。
 
 ものすごい力で、がしっと、手首をつかまれた。
 
「・・・・・・遊ぼう」
 
 蝋人形の、僕が言った。

 噂だと、たまに自分そっくりの蝋人形に出会うらしいよ。

 連れて行かれると、生きたまま蝋人形にされるのかな?
 
 僕の話はこれでおしまい、みんなも気を付けてね。