あんまり怖くねえかもしんねえが……、つい先月、妙なことがあったんだ。
銃兎が5月、理鶯が6月生まれで、全員予定が合わなかったから、ようやく誕生日かねてMTC全員で行きつけのダイナー行って、いろいろ飲み食いして、じゃあまたなーって部屋に戻ったときだった。
俺が合歓と住んでいるマンションには、周囲にプライバシー保護のため常緑樹が植えてあるんだ。盗撮とか、空き巣防止になるからな。
で、ほろ酔いで良い気分に横を歩いていたら、
「ままとき」
って、声がした。
電子音声、ってあんだろ。ATMとか、Siriとかのやつ。あんな感じの
抑揚がねえ、男か女かわかんねえ声。
なんだ?って思って常緑樹を見上げると、上から「ガサガサ」って音がして、足下になんか、ポトリと落ちてきやがった。
拾い上げると、白い布をてるてる坊主みたいにして作った人形だったんだ。
大きさはちょうど、そうだな……一郎たちが持っているマイクぐらいだな。
にんぎょう、って言うより「ヒトガタ」って表現したほうが正しいかもしんねえ。丸い芯に、布をぐるぐるまきつけたような形で、球形の頭部があって、丈夫なてるてる坊主っぽいやつだ。
そいつの、腹のあたりに名前が書いてあったんだ。
まあおそらく、俺が不幸になるようにみてえな願掛けしたんだろうな、頭には爪楊枝がぐさぐさ、黒ひげ危機●髪みてえに刺さってたし。
だが笑っちまうのは、そのヒトガタ、でっけえ間違いをしてたんだ。
俺の名前は左馬刻だろ?ヒトガタには「馬馬刻」って書いてあった。
思わず「誰だよ!」って叫んで、ソッコーで写メして銃兎と理鶯にラインで送った。全員爆笑。
全国の「馬馬刻」さん、気を付けろをということで、俺の話はこれで終わりだ。
ヒトガタはコンビニのゴミ箱に捨てた。