シブヤじゃなくって、よくフェスで使う郊外にある、ちょっと田舎みがある場所での話。
そこはね、稲荷信仰だっけ、あの、狐さんをまつるやつ。そういう神社があって、夏になると縁日があるんだ。
シブヤだと僕は有名人だけど、都内を離れると「どこの子?」ってなっちゃう事もある。だから、逆に縁日とかにも行き放題ってわけ。
というわけで今回みたいに、甚平に着替えて、縁日へと繰り出した。フランクフルトでしょ、やきそばでしょ、ヨーヨーつり、いろんな屋台を物色していたら、「お兄ちゃん、リンゴ飴はどうだい」と声をかけられたんだ。
ちょっとすっぱい、小さいリンゴあるでしょ?姫リンゴってやつ。
それに飴がけして、お砂糖を敷いたトレイの上に並べて、おじさんが売っていたんだ。
すごくかわいかったから、ひとつくださいって言って、身をのりだした。
すると、ぱっとその屋台が消えて、あたりは真っ暗。
なに、なんで?ってキョロキョロしていると、キキーって自転車が停まる、甲高いブレーキ音。
「君、なにをしているの?縁日は明日だよ。まだいるんだねえ、騙される人」
通りかかった男の人が、僕に、そう言った。
狐につままれたって、こういうのかな?
僕の話はこれでおしまいです。