ギャンブラーっつうのは、古くさいかもしんねえが、やれ縁起だとか、験担ぎだとかにはかなり気を遣う。

 たとえば、儲けたときに身につけていたピアスだとかは、外さないでそのまんま過ごしたり、反対に有り金ぜんぶすっちまったときは、極端な話、捨てちまうこともあるんだ。

 あとは、偶然耳にしたこと、目にしたことにも気を遣う。

 俺は意外と猫が好きで、地域猫に飯食わせたり、チューブになってるおやつ舐めさせたりしてたんだ、ゴロゴロ喉ならして、癒やされるんだよなあ。

 新しくカジノができたって話をギャンブラー仲間から聞いて、行ってみるかってシブヤ駅まで歩いていた時だ。いつもかわいがってる地域猫がてくてく歩いてきて、俺の顔を見て「にゃん」なんてかわいい声で呼んできた。

「今日は新しいカジノに行くんだ、ツキが回るよう、お前も祈っててくれよ?」

 なんて、頭をなでながら話しかけた時だ。

「……やめな、やめな」

 って、はっきりと、猫が言いやがったんだ。いや俺も聞き間違いかなって思って「なんだ?飯か?」ってむっちりした背中とかなでたらやっぱり「やめな、やめな」って声で鳴くんだよ。

 こりゃ、ギャンブラー的に、従ったほうがいいかなあって思ってな、引き返して近所のラーメン屋でギョウザとザーサイつまみに、ビール飲んでた時だ。

 ラーメン屋のテレビで、臨時ニュースが流れた。

 行こうとしていたカジノで、危険ドラッグの違法取引が見つかり、一斉摘発されたんだ。

 しっかりうつってたぜ、入間巡査部長さん。

 俺の話は、以上、にゃー。

(そうそう、応援に行っていましたからねと銃兎が照れ笑い)