石蔵をリフォームして、子ども部屋にするから片付けたいという依頼を受けた時です。
錆び付いた、大きくて重い南京錠を開けてもらい、なにしろ昔の蔵ですから引き戸も石造りで、開けるのもけっこうな力仕事になりました。
ようやく隙間が空いて、ずるずるずると引きずられるようにして、戸が開きはじめたときです。
わっ、と一斉にたくさんの、小さい動物みたいな影が、外へ飛び出して行きました。
蔵の中で、すでに骨になった、猫の死骸が何体か転がっていました。
クライアントはゴミにでも出せば良い、さっさと片付けろと言いましたが、商売をしているほうは、後味が悪いやり方はしたくありません。そこで、いち兄が「自己負担する」と言って、近所の寺へ連絡して、弔ってもらったんです。
蔵の片付けは、無事にすみました。
数日後、そこを部屋にしたお子さんが、自分の目と耳をシャープペンシルで突き刺して、病院へ運ばれたと、クライアントから聞きました。
猫の声がする、怒っていると、何度も繰り返しながら。
悔やんでいましたよ、捨てようとか言うんじゃなかったって。
僕の話は、以上です。