じゃあ僕は、小さい頃にあった話をするね。
幼稚園に行っていたときなんだけど、遅くまで起きているといけないからって、早めに布団を敷いてもらって先に寝ていたんだ。
ひとりで寝るのに、静かだとちょっと寂しいから、ラジオをつけてた。
うとうとしながら、リスナーからの投稿とか、当時はやっていた歌とかを聴いていたら、とんとん、とんとん、ってリズミカルな音が部屋の外からしてきたんだ。なんていうのかな、楽しそうに階段をあがってくる、足音みたいな?
家は一戸建てで、僕の部屋は二階にあった。
だから、両親が様子を見に来たんだろうと思った。
でも、のぼりきった音がしたのに誰も来ない。
何度も何度も、とんとん、とんとんっていう足音が繰り返される。
それが毎晩起きたから、両親にも話したけれど子どもの言うことでしょ?夢でも見たんだろって、相手にしてもらえなかったんだ。
ただ、叔母さんが……母親の妹なんだけど、その人だけは信じてくれた。
叔母さんも、足音の主を見ていたから。
家中を駆け回る、元気な、坊主頭の男の子。
僕が仲良くしていた、男の子。
車に轢かれて「嫌だよう、僕まだ、お友達と遊びたい」って言いながら亡くなった男の子。まだ小さかったから、お別れはできなかったんだ。
足音は小学校、中学校、高校、と進学するにしたがって、聞こえなくなっちゃった。
幻太郎、これってイマジナリー・フレンドってやつなのかな?
僕の話は、これで終わりです。