二郎が話していた、自殺した同級生についてなんだけど……。
僕も、実はいち兄に黙っていたんです、ごめんなさい。
たまに、遺品整理とか断捨離の依頼で引き取ったものを、軽くて僕ひとりで持って行けるやつだったら、物置まで持って行くことがあるんだ。いち兄は見積もりとか、クライアントとのやりとりで忙しいし、二郎は二郎で料理とか作ってるから手が離せないらしくて、まあ一応、末っ子として気を遣うときもあったり、するんです。ほとんどは、いち兄に対してですけど。
で、物置に、ある日荷物を置きに行くついでに軽く片付けておこうかなって、思いながらドアを開けた。
びょんびょん、びょんびょんって、飛び跳ねる何かがいた。
まさか、二郎が言っていたやつかなと僕は身構えた。
飛び跳ねるやつの動きをじっと、見失わないように凝視していたら、だんだんと正体がはっきりしてきた。
僕が生まれる前、寂雷先生は知っているかもしれないけど、トロール人形っていうやつが流行した時期ってありましたか?
(あったねえ、と寂雷懐かしそうに答える)
あるクライアントの部屋から、そいつが大量に見つかって、本人も「なんで買ったかわからない」ということで、うちで引き取ったやつが飛び跳ねていたんです。
白やオレンジ、赤、黄色、カラフルで逆立った髪の毛を振り乱しながら。
僕が固まっていたら、目の前でばらばらばらって、落下した。
あれを見てから、僕は物置へひとりで行くのをやめた。
また出くわしたら敵わないんで。
短いけれど、これでおしまいです。