日本では気候がよくなると、地中にいた虫たちが這い出してくる時期を「啓蟄」と呼ぶのだと、合歓から教わった。
 
 小官は獲物を捕って食べるかたわら、小さいながら畑も持っている。
 やはり、大地を踏みしめて生きる人間として、土に触れていると心が安まるようだ。
 
 ある日、そろそろ季節野菜の種まきをしようと畑に行った。
 オクラにラディッシュ、ナスなど、スープでもサラダでもおいしく食べられるので、できあがったらMTCの皆にもお裾分けしようと考えた。
 
 畑を見ると、そこかしこでぽこぽこと土がもりあがっている。中には、もぞもぞ動いているものもある。ミミズや小さい虫たちが、気候がよくなるとともに元気に這い出してきたようだ、きっと養分を蓄えた良質の土になっただろうと、小官は、ほほえましくのぞきこんだ。
 
 青白く、ぶよぶよにふやけた人差し指が、無数に這い出していた。
 黒く変色した爪が、陽光を浴びて鈍く光った。
 
 畑は、別の土地へ作ることにした。
 指が這い出してくる畑で、野菜を育てるなどということは、いくら小官でも及び腰になってしまう。
 
 というわけで、これが最近取れたスナップえんどうだ。
 塩ゆでしてあるから、よかったら食べてみてくれ。
 左馬刻、銃兎、そんな顔をするな。別の畑で作って、収穫したぶんだ。
 
 小官の話はこれで以上だ。
 (乱数、独歩がお相伴「うまいうまい、マヨネーズほしい!」「おいしいです、ビタミンがしみわたる~」)