ダチとカラオケへ行って、すっかり遅くなり急ごうと近道に入った。
まっすぐ行って、右折すればすぐ自宅が見えてくる、細い路地。
歩いているのはきっと、野良猫ぐらいだろうと思っていたけれど、ふと、反対方向からゆらゆらと、まるで酔っ払いみたいに左右に揺れている、黒い影が歩いてくることに気がついた。
すれ違った時、同級生とわかった。
自分が便利屋をしているから、同級生だし、高い賃金で働かせろとか、引き取った商品をよこせとかごねていたので、断ったんだ。
けちだ、あいつは生意気だなんて、さんざんな悪口を振りまいて逆恨みされた。
もともと、周りも「あいつは欲張りで、なんでも独り占めしようとする」って嫌われていたから、誰も相手しなかった。
ああ、嫌な奴に会ったなと思ったが、目つきがどこを見ているかわからない、ぼんやりとうつろに空間を見ているようだった。
そういえば、学校に来ていないと聞いたから、昼夜逆転の生活をしているんじゃないだろうか。
関わりたくないし、見えないふりをして通り過ぎようとしたときだった。
……お前が悪いんだ。
はっきりと、そう聞こえた。
翌日、学校でそいつが亡くなったという知らせがあった。
学校へ行けなくなり、親不孝だ、金を無駄遣いしたと罵倒され、なにもかも嫌になったらしい。
部屋で、制服のネクタイを使って……あとはわかるよな?
両親は葬式代もかかる、親不孝だ。
せめて、金目のものを売って、工面してくれりゃよかった。
そんなことを愚痴っていたから、かなりむかついた。
あいつ、まだ物置にいる。
ガリガリの身体で、目だけぎらぎらさせて、金目のものがないかって、さがしまわっていやがる。
業だけが、さまよっているっていうこともあるんだと思った。
これで終わり、兄ちゃんも気を付けて。