柾鷹は2階にある教室から、
3階にある渡り廊下に向かっている・・・。
3階にある渡り廊下には、
放課後では珍しく誰もいなかった。
柾鷹(・・・どこだよ・・・)
すると柾鷹の耳に声が近藤先生の声が聞こえてきた。
近藤先生「滝雄~!!こっちだ~!!」
大きな声は渡り廊下に響き渡った。
柾鷹は声の方角を見ると、
近藤先生は渡り廊下ではなく、渡り廊下が見える校内の端にいた。
柾鷹(・・・渡り廊下じゃねーし・・・)
そして柾鷹は近藤先生の元に向かう。
近藤先生の場所に辿り着くと、そこには1つの机と2つの椅子があった。
柾鷹(・・・教室でもよかったんじゃ・・・)
近藤先生「座ってくれ。」
そして2人は椅子に座った。
近藤先生「滝雄。どうだった?入試は?」
柾鷹「どうって、言われても・・・。特には、ないですけど。」
近藤先生「そうか・・・。」
近藤先生は、いつになく真剣な表情をしている。
柾鷹(・・・この先生も・・・こんな顔できるんだな・・・)
近藤先生「では・・・。これから滝雄の推薦入試の合否を伝える・・・。」
柾鷹「はい・・・。」
柾鷹も真剣な表情になった。
近藤先生「・・・。」
柾鷹「・・・。」
近藤先生は真っ直ぐに柾鷹の目を見ている。
近藤先生「・・・。」
柾鷹「・・・。」
まだ近藤先生は柾鷹の目を見て視線を逸らせていない。
近藤先生「・・・。」
柾鷹「・・・。」
柾鷹(・・・いつ言うんだ?・・・)
近藤先生「・・・。」
柾鷹「・・・。」
柾鷹(・・・どっかのクイズ番組じゃねーんだぞ・・・)
近藤先生「・・・。」
柾鷹「・・・。」
柾鷹(・・・落ちたら落ちたでいいから・・・いいかげんに・・・)
近藤先生「・・・合格だ!」
柾鷹「!!」
近藤先生は大きな声で柾鷹に告げた。
柾鷹「ご、合格・・・ですか?」
近藤先生「そうだ。よく頑張ったな、滝雄。」
柾鷹「は、はい。」
柾鷹(・・・合格した・・・)
近藤先生「よし、じゃあ他の詳細は折り入って伝える。
次の人を呼んできてくれ。」
柾鷹「先生。次の人・・・来てますけど。」
近藤先生「何?」
そこには、次の順番のクラスメイトの男子が来ていた。
男子クラスメイト「やったな、滝雄。」
柾鷹「あ、ああ。」
柾鷹(・・・そりゃあの大声で発表されたら聞こえるよな
・・・場所も丸分かりだろ・・・)
そして柾鷹はその場を離れ教室に戻ろうと移動した。
戻り際に、再び渡り廊下に差し掛かる。
柾鷹「ん?」
柾鷹は渡り廊下の隅に立っている人物が目に入った。
柾鷹(・・・あれは・・・新開さん・・・)
自然と足が朋美に近付いていく柾鷹。
朋美「あ・・・。」
柾鷹「!!」
柾鷹(・・・泣いてる?・・・)
朋美は目に涙を浮かべていた。
朋美「鷹くん・・・。先生の所に行ったんでしょ?
どうだったの・・・?」
朋美は涙を拭いながらも、柾鷹に質問してきた。
柾鷹「その・・・えと・・・。」
柾鷹(・・・言っていいのか・・・この状況で言うべきなのか・・・)
柾鷹は葛藤と戦っていた。
柾鷹「う、受かったよ・・・。」
朋美「ホント?よかったー。おめでとう鷹くん。」
朋美は笑顔で答えた。
柾鷹「え?あの、新開さんはどうだったの?」
朋美「あたし?あたしも受かったんだよ・・・。」
朋美は再び泣き始めた。
柾鷹(・・・え?・・・受かって泣いてる
・・・よっぽど行きたい学校だったんだ
・・・泣くぐらい
・・・俺なんかどうでもいい理由だったのに・・・)
朋美は涙を拭いながら泣き続けている・・・。
柾鷹(・・・こんな時は抱き締めればいいのか?
・・・いや!駄目だダメだ!・・・)
柾鷹は自然と朋美の前に手を差し伸べた。
柾鷹「おめでとう。」
朋美「ありがと。鷹くん。」
そして、ゆっくりと朋美は差し伸べられた柾鷹の手を握った。
柾鷹(・・・頑張ったんだな・・・新開さん・・・)
柾鷹は朋美と共に受験に受かったことに、
少しばかり喜びを感じていた。
それは手から伝わる温もりと共に・・・。