先日、亡くなられた黒川紀章さんに関するNEWSで、奥様で女優の若尾文子さんが心境を語ってらっしゃるのを観ました。
若尾さんは、「まさか、まさか、こんなに突然急変するとは思いませんからね、誰もね。あらかじめ覚悟といっても、まさかこんなに人間が簡単に死ぬとは思いませんから。つらかったですね」と現在の心境を語り、黒川さんとの最後の会話についても触れました。
「あっという間に亡くなりましたけど、10日に『私、いい奥さんじゃなかったわね』と言ったら、『そんなこと言うなよ。本当に好きだったんだよ』と言ってくれたんです。遺言みたいですが、それが最後の会話になりました。10月10日のことは一生忘れません」と言葉に力を込め、「黒川はこんなに早く入るとは思わなかったでしょうけど、私のために梅窓院にお墓を買ってくれていたんです。今はとにかく横になろうと思います」と気丈に話してらっしゃいました。
このコメントを聞いた時、ジーンと胸が熱くなり、涙が出そうでした。
昨今、離婚をする夫婦が多い中、お互いがお互いを支え合い、慈しみ・尊敬し、そして愛し合う夫婦の理想系を見た気持ちになりました。
お互いに仕事も忙しく、なかなか夫婦の時間を取れなかったと思います。
若尾さんは少ない時間を少しでも黒川さんに尽くす努力をされていたと思います。
現に、市長選挙のときは夫婦で頑張ってらっしゃいましたもんね。
若尾さんが、「良い奥さんじゃない」とおっしゃったのは、もっともっと側にいること、それこそが黒川さんにとっての一番の癒しであり心から尽くすことができたんじゃないかと言う、後悔の念として表れたのではないでしょうか。
黒川さんもそんな若尾さんの気持ちを知り、理解しているからこそ、今まで一緒にくれたことへの感謝の気持ちと、そして、今も変わらない若尾さんへの愛する気持ちを、残された時間が僅しかないことを知った上で口にしたのではないでしょうか。
男の人って自分の気持ちをあまり言わないじゃないですかw
昔の人ならなおさらだと思うんですよ。
特に、黒川さんのように芸術家肌の人であればより一層。
長年連れ添い、お互いを熟知した間柄であった若尾さんにとって、この黒川さんの言葉は遺言になってしまいましたが、「この人と一緒に時を過ごし、人生を歩み、愛し合うことができて良かった」と悲しい気持ちを打ち消してくれたんじゃないでしょうか。
何度読んでもこのエピソードにはジーンときます。
簡単に結婚し、離婚できる時代になってしまっているのかもしれませんが、結婚うんぬんよりも、愛すること・そして、愛の形を見させていただいた、そんな気持ちでいっぱいです。