2024年の出来事から学ぶ「経営者として考えるべき2種類の値上げ」 | 値上げができる店頭看板の考え方・作り方

値上げができる店頭看板の考え方・作り方

もしも今、みんながサボらず一生懸命働いていて、利益が思うように出ていないのだったとしたら、それは単価が低いのが原因です。思い切って値上げをしてみませんか? 店頭看板を通じて、値上げができる考え方をお教えします。

2024年は、多くの経営者にとって大きな気づきを与える年となりました。

 

この年、郵便料金と米の価格が相次いで値上げされましたが、それぞれの背景や影響は異なり、私たち経営者が参考にすべき重要な教訓を含んでいます。


1. 不採算事業縮小型の値上げ:郵便料金の事例


2023年、郵便事業は約900億円もの赤字を計上しました。

 

その原因は以下の通りです。

デジタル化の進展により郵便需要が減少。


労働力確保の難しさから、人件費負担が増加。


これらを受けて、日本郵便は2024年10月1日から郵便料金を一斉に値上げしました。

 

値上げ幅は30%超と大きなものでしたが、その目的は赤字事業の負担を軽減し、持続可能な体制を整えることにありました。



ポイント: 経営者として、採算が取れない事業やサービスがある場合、その継続が全体の負担になっていないかを見直すことが重要です。

 

不採算事業を縮小しつつ、適切な価格改定を行う場合は、1回の値上げ率MAX30%以下を超えても、長期的な安定を目指す姿勢は学ぶべき点です。

 

 

 



2. 供給不足による値上げ:令和の米騒動


一方で、2024年8月には「令和の米騒動」と呼ばれる現象が起きました。

 

その背景には、南海トラフ地震の警戒情報が約1週間発表されたことが挙げられます。

 

この情報を受けて人々がパニック的に米を買い占めた結果、流通が混乱し、米の供給不足が発生。

 

結果として、米の価格は20%以上、30%未満の値上げを余儀なくされました。


ポイント: こちらは、供給側の問題による「需要と供給による、やむを得ない値上げ」の典型例です。

 

経営者として、不可抗力の事態に備えたリスク管理や在庫計画の重要性を再認識する必要があります。

 

パニックによる需要増加が収束した後の対策も、ブランドの信頼維持において鍵となります。



2種類の値上げから学べること


これら2つの事例は、経営者が直面する値上げの決断において、異なる視点を示しています。

◆戦略的な値上げ(郵便料金のケース):長期的な収益性と持続可能性を確保するための計画的な値上げ。


◆対応的な値上げ(米騒動のケース):不可抗力的な要因に対処するための値上げ。


値上げは消費者にネガティブな印象を与えがちですが、その背景や目的を適切に説明し、透明性を保つことで、顧客の理解を得ることも可能です。



経営者のアクションプラン


・不採算事業の棚卸し:利益を圧迫している部門やサービスの見直しを定期的に行い、必要であれば値上げや縮小を検討する。


・リスク管理の強化:自然災害や市場の混乱が事業に与える影響をシミュレーションし、対応策を事前に準備する。


・顧客への説明力向上:値上げの理由を明確に伝え、顧客の納得を得るためのコミュニケーション戦略を磨く。

 

 


2024年の出来事を振り返ることで、私たち経営者は自社の価格戦略を改めて考え直すべきタイミングに来ています。この先の変化に柔軟に対応するために、ぜひ今後の経営判断に活かしてください。