大幅な割引きをベースにしたやり方から脱却しませんか? | 値上げができる店頭看板の考え方・作り方

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もしも今、みんながサボらず一生懸命働いていて、利益が思うように出ていないのだったとしたら、それは単価が低いのが原因です。思い切って値上げをしてみませんか? 店頭看板を通じて、値上げができる考え方をお教えします。

こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。

 

 

 

バブル時と現在の日本の衣服の供給量を調べてみました。

 

バブル時の1990年は、年間『約20億着』で、デフレ時の2020年は、年間『約35億着』と倍近くです。

 

増えた原因は、色々あると思いますが、一番は価格を下げなければ売れないため、供給量が多くなったと推察します。

 

つまり、大量に生産し、大量に販売するやり方が当たり前になって来たのです。

 

 

しばらくは、このやり方が受け入れられて来ました。

 

しかし、今はそのやり方の弊害が出てきているのです。

 

 

それが大量生産、大量販売による『モノ余り』になります。

 

 

『モノ余り』になると、価格を多少下げても売れなくなるのです。

 

結果、年間『約35億着』の衣服のうち、約半分が売れ残ってしまっています。

 

 

これにより、大量廃棄という現象が起こるのです。

 

 

どれくらい廃棄されているのかというと、『まだ使えるのモノをすぐに捨てる、使い捨て』も含めると、実に『7割』にもなります。

 

 

しかし、それでも企業は売り続けなければいけないため、捨てることを前提で作って売ろうと考えるのです。

 

 

 

<例えば>売価1万円の衣服を作って売る場合

 

・原材料が30%の3千円

 

・メーカーの利益が30%の3千円

 

・残りの40%の4千円が小売りの利益

 

 

このような利益構造で販売しているとします。

 

これを定価の10%くらいの割引きで小売りが売ると、30%の3千円の利益が出るのです。

 

しかし、これで売れる数量は、先程も言ったように約半分止まりになります。

 

 

 

後の半分は、割引率を強めて売るのです。

 

<例えば>30%の割引きで売ると、売価が7千円

 

・原材料は同じなので、3千円

 

・メーカーの利益も同じなので、3千円

 

・残りの1千円が小売りの利益となります。

 

 

 

これでも、まだ売れ残るので、さらに割引率を強めて売るのです。

 

 

<例えば>50%の割引きで売ると、売価が5千円

 

・原材料は同じなので、3千円

 

・メーカーの利益も同じなので、3千円

 

・すると、小売りは利益どころか、マイナス1千円の損になってしまいます。

 

 

それでも、在庫が残るよりもマシなので、マイナス覚悟で損切りするのです。

 

 

 

これが続くとと採算が合わなくため、次第に次のように考え出すようになります。

 

 

 

どうせ半分しか売れないのなら、『5千円の製品を1万円の商品として売ってしまえばいい』と、そうすると、例え、50%の割引きで売ったとしても、利益が取れると考えるのです。

 

 

計算式は、次のようになります。

 

・50%の割引きで売ると、売価5千円

 

・原材料は、5千円の30%の1.5千円

 

・メーカーの利益も、5千円の30%の1.5千円

 

・残りの2千円が小売りの利益

 

 

こんな感じです。

 

 

確かに、この計算だと50%の割引きでも、利益は取れます。

 

しかし、これではある意味、だましに近い売り方です。

 

しかも、問題は、1万円の商品の原材料が通常の半分15%しか掛けていないところになります。

 

これでは、本来の価値が作り出せなくなり、魅力のない商品になってしまって、さらに売れ残りが増えることになるのです。

 

 

 

このような大幅な割引きをベースとしたやり方でなく、しっかりと本来の価値を高めて、高く売ることで、利益を生み出すようにしなければいけません。

 

中には、安い価格の商品に満足するお客さんもいます。

 

しかし、本来の価値を求めているお客さんが多いのも事実です。

 

 

 

大量生産、大量販売、大量廃棄の流れは、SDGsなどの環境問題として今後さらに厳しくなると思われます。

 

 

もうそろそろ大幅な割引きをベースとしたやり方から脱却しませんか?

 

 

 

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

伊丹芳則