こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
あまり知られていませんが、値上げには、『正しい値上げ』と『間違った値上げ』があります。
その違いは何でしょうか?
それを分かりやすくするために、『割引き』を使って説明しますね。
『割引き』は、原則、現状を何も変えずに、価格だけを割引くやり方です。
ここで言う、現状を何も変えないとは、次のようなことになります。
◆(a)『商品の内容を、何も変えない』
◆(b)『接客等を含むサービスの内容を、何も変えない』
◆(c)『利用されるお客さんの層を、何も変えない』
このように現状を何も変えないまま、価格だけを安くしますので、客数を増やす効果が期待できるのです。
昔は、このやり方で上手く行った時がありました。
しかし今は、割引きで下がった客単価を補うだけの客数が増えないのです。
これと同じような傾向を示すのが、『間違った値上げ』になります。
これも、原則、現状を何も変えないまま、価格だけを高くしますので、客単価を増やす効果が期待できるのです。
しかし、現状のままで、価格だけを高くすると、価格に敏感なお客さんはお店に来なくなります。
しかも、今は、このようなお客さんが沢山いるのです。
そうすると、客数が大幅に減ってしまいます。
この客数の減少率が、値上げで上がった客単価の増加率を上回ると、売上げだけでなく、利益まで減少してしまうのです。
これが、多くの社長さんが、『値上げを恐れる理由』になります。
しかし、これはあくまで『間違った値上げ』によるものです。
では、『正しい値上げ』とは、一体どうすればいいのでしょうか?
簡単に言えば、先程と違うことをやればいいのです。
つまり、現状を変えて値上げします。
◆(A)『商品の内容を、今以上に価値があるものに変える』
◆(B)『接客等を含むサービスの内容を、今以上に価値がある居心地の良い雰囲気に変える』
◆(C)『利用されるお客さんの層を、新しい価値を求める客層に変える』
特に、重要なのが、(C)の『利用されるお客さんの層を変えること』です。
これは、今までと全く入れ替えるのではなく、今までにお店を何回も長く利用しているお客さんを優先することになります。
そして、その『新しい層のお客さん』が求める価値を提供するために、『値上げ』するのです。
これが、『正しい値上げ』と言えます。
ここでのポイントは、価格ではなく、『商品を通した喜ばれる体験』や『お店で受ける居心地の良さ』などの価値を高めることです。
ここを満足してもらえたお客さんは、例え、価格が高くなったとしても、リピートし続けてもらえます。
逆に、もしも、ここが満足してもらえなければがっかりされて、『価格が高い』という言い訳で来なくなるのです。
このことを十分意識して、『値上げ』をすると、お客さんに喜ばれながら、利益を増やして行くことができるでしょう。
どうでしょうか?
一度、値上げを本気で考えてみませんか?
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則