私がその店にいたのは、2000年代前半、SNSがそれ程発達してない時代。
求人はまだまだ紙媒体が主流、携帯はガラケーしかなく、専業主婦や中学生以下の子供は所持していないのが珍しくなかった時代。
次の週に出勤すると、しばらくしてママも出勤してきた。この日は給料日なんだけど、もらえるのかな・・・。
私を見ると「ああ、お給料ね、明細なしでいい?」
「はい(もらえればいいから、さっさとよこせ)」
ママは財布から無造作に紙幣を取り出し、投げるように渡してきた。
もらえればいいけど、なんだかねぇ。
肝心の給与システムは時給✕勤務時間分だから、この店は税金を引かない店らしい。
その日、お客は一人だけ来店。それ程長居はしなかった。
普通は店が暇だと、普通はママやチーママが営業電話をするのにかけない。
そんなにお客がいないんだ。
私はまだ2回しか出勤してないけど、この店やっていけるの?
人件費も出ないよね。家賃光熱費、酒・おつまみ代、経費だけで毎月数十万かかる。
私がいない他の曜日にたくさんお客が来てるのかな?
店舗も従業員数にしては広い。これなら私鉄沿いの駅近くの小さい店で営業した方がいろいろよいのでは?
ターミナル駅に近いようで遠い。地下鉄の駅からも微妙に遠いんだよね。
わざわざ足を運んで来店するような立地ではないと思う。
そして個人的にかなり気になるのが、シンクの水の流れがかなり悪い。
ママに聞いたら「業者に修理を依頼したら、どこも悪くないって」
建物自体が呪われてる?
この店はいても意味がない、早々に離れた方がよいかもと思っていたら、さらに最悪の事態が起きた。
次の週出勤すると、ママと見知らぬ中年女性がいた。
40代前半ぐらい、ショートカットで雰囲気も少しも女性らしさを感じない、よく言えばサバサバ系女子。
「ailureちゃん、彼女まいこさん。店を手伝ってもらう事になったの、彼女は波乱万丈の人生で、社長をしていた事もあってね~」
うわ・・・絶対合わないと内心思ったけど、そんな事を言えない。
女性なら経験あると思うけど、女性相手に初対面で1ミリも合わないと思ったら、とことん合わない。
その日も客はゼロか、一組ぐらい来たような・・・・。
そして事件は次の週起きた。私が出勤したら、まいこさんと若い女の子がいた。
若い子は週2か3で出勤している子で、格闘技が好きとかで、ややぽっちゃり系だけど、この店にしてはまともそうな普通に可愛い子だった。
ママが用事で店を出た後に、二人で楽しそうに話していたけど、私はどちらにも興味ないので、携帯をいじって話題に入らなかった。
するとまいこさんがいきなりからんできた
「ailureちゃんもこの子みたいにもう少しあか抜けたら?」
は?しなびた感じの40過ぎのババアが何言ってんの?
「ああそうですか~」こんな奴相手にしたくないので、適当に流した。
でもね誰が見ても一番あか抜けてないのは、まいこ(もう呼び捨て上等)お前だよ
格闘技好き女子はものすごく気まずそうにしてる。いや、この子顔は普通に可愛いけど、客にでぶ扱いされる体型のどの辺りがあか抜けているのか・・・・?
そもそもその時代でも「あか抜けている」というワードが年寄りくさいんだが。
まいこの暴言はまだ続いた
「今の若い子ってさ、カラオケに行っても他の人が歌っている時に、なんで一緒に盛り上がらないの?皆で一緒に盛り上がって楽しくやらないの?自分が歌う時以外は歌本見たりして知らん顔してさ、おかしくない?」
お前は若い子に嫌われてるんだよ とにかくウザいババアだな
本当に最低最悪の店かも
幸いにも次の出勤日は祝日のため、私は休み、また給料日がやってきた
今度はちゃんともらえるよね・・・・
しかし、出勤してきたママに給料の話をすると
「ごめん、忘れた、来週必ず渡すわ」
・・・・はあ?わざとじゃない?
それから一ヵ月程の間、私は今まで経験した事のない出来事に翻弄されることになった
