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霊能者みなみです。皆さんこんにちは。


去年の秋、お世話になってたA先生が突然亡くなった。死因は知らされていない。いや、誰も知らないのもしれない。


いつもお昼になると、保温のきく黒く丸いお弁当を方にかけて、BMWに乗って颯爽と出掛けていく。


お弁当だし、きっと、自分のお気に入りの秘密のお気に入りの場所で食べるのだろうと、どんな素敵なところだろうと私は、いつも思い浮かべていた。


冬なのに太っちょ先生は、うちわで仰ぎながら、調子どう?と聞いてくれた。夏も冬もうちわであおぎながら。きっと聴診器より大切なものだったに違いない。うん。そしてたまに、飼っている二匹のお高い猫の話をしてくれた。


私の診療が終わった時間と、先生のお弁当の時間が重なる時が時々あった。



そして、いつしか黒いお弁当がなくなっていた。

家で食べることにしたのかな?とそれほど気に留めてなかった。


そんな中、待合室のおばちゃん達から、こんなことが聞こえてきた。


先生、離婚したんだって!


…それで黒いお弁当がなくなったんだ。先生はいったいどこに出掛けているんだろう。お昼ご飯ならコンビニで手に入るけど…そうだったのか。

なくなった黒いお弁当にこころが傷んだ。



それから間もなくだった、先生は、急死した。

ビックリだったが、それ以上に患者達は慌てた。

なんせ、カルテのコピーしかないのだ。本当に私も慌てた。実は、クリニックというのは、患者がいっぱいで断られるのが現実だ。A4のカルテという厚い本を抱えて、いろんな医院へ回ったが、みな同じく断られたいたようだった。


私は、運が良かったのか3件目で笑顔の優しい先生に出会えて、ホッとしたのを覚えている。



先生が急死してもうすぐ一年という時だったろうか、A先生の病気の前を車で通った。


更地になっていて、売り出されていた。

すごくショックを、受けた。本当に亡くなったんだ。時間は無情に進んでいく。


すると、土地の真ん中に薄茶色のトレンチコートを着た男性が首をさげてしょんぼりして立っていた。


車を止めたがったが、後ろに車がいたため、なんとなく通り過ぎてしまった。

後ろ姿だったが、A先生と分かっていた。でも今日は何故かダメだと思った。


その3日後、また、その道を通る機会があった。

後続車もいない、誰も道をあるいている者もいない。今だな、と思った。


車を止め頭の中でA先生、A先生、と呼んでみたが、反応がなかった。


首に縄は、かかってない、血も流れていない、濡れてもいない。そんなことが頭をよぎったが、そんなことは、本当はどうでもいいことだった。



私は、A先生をこちらに引っ張り、一旦、数珠に入れようと思ったがやめた。


私は、数珠をメモリー代わりに使っている。ある程度溜まったら出して、ほとんど天に上がる。


でも、今のA先生には、時間が必要だと思った。天に言えば、天は、引き受けてくれるだろう。

でも、何か違う。

数珠には入れず3日間連れ回した。買い物や犬の鳴き声、風や春の暖かさ。そして、我が家のうるさい晩ご飯。秋ではなく、時間が経ったことに気が付いてもらいたかったからだ。


3日目の夕ご飯の時に何となく、A先生の肩に手を置いてみた。やっとこっちを見てくれた。A先生は、少し驚いた顔をしたが、前に出されたおかずをじーっとみていた。ご飯の匂いにも気が付いてくれるかなぁ。なんて思った。


タイミングが来た。そう思った。



次の日、また先生を車に乗せて連れ出し、ある場所に向かった。



先生の特別な秘密の場所を思い描き、クローバーが咲いてる天への浄化の道を作った。長い長い天への浄化の道。

先生、気に入ってくれるかな?どうだろう?と見ていると、先生は、クローバーで出来てる天への浄化の道をゆっくり歩き出してくれた。


歩く中で、自分という人を受け止めて、色々な心の整理をし、上がる頃には、あの、うちわで仰ぐ先生に戻っているはずだと私は信じる。そして、クローバーが先生を励まし、慰めてくれるはずだと、私は信じる。

あっ、コートを脱がせてあげれば良かった、と思ったが、北風と太陽の話を思い出し、少し笑った。


先生、さようなら、そして、お世話になりました





相談は、無料です。霊的なお仕事が入る場合、有料になります、